[テキスト2]日本の医療政策と地域医療システム
今回は、「医療経営士3級」資格試験において最も出題数が多い範囲の一つである、テキスト2「日本の医療政策と地域医療システム」のポイントをまとめていきます。
- ポイントは概略であって、詳細はテキストorなっとくQ&Aなどで確認してください。
- 直近の出題傾向も加味して、ポイント整理をしております。
- 法改正、制度改正など一部最新情報でない部分は、あらかじめご了承ください。
第1章 医療保険制度の仕組み
国民皆保険の基本構造
○被用者保険制度
- 健康保険制度:民間企業に勤務する被用者
- 共済組合制度:公務員など
※健康保険の保険者は、中小企業=全国健康保険協会(協会けんぽ)、大企業=健康保険組合となる。
○協会けんぽの都道府県支部別保険料率
協会けんぽは、年齢構成や所得水中の粗衣を調整したうえで、地域の医療費の水準の相違を反映した保険料率が都道府県支部ごとに設定されている。
2018(平成30)年度において、保険料率が最も高いのは佐賀県(10.61%)、最も低いのは新潟県(9.63%)となっている。
国民医療費の推移と財源調達の仕組み
○国民医療費の財源構造
国民医療費(平成27年度)の財源構造
公費・保険料・患者負担が4:5:1となっている。
つまり、負担割合としては、保険料>公費>患者負担という構造になっている。
○医療費の患者負担
- 0~6歳(義務教育就学前):2割負担
- 6~70歳:3割負担
- 70~75歳:2割負担(※1)
- 75歳以上:1割負担(※1)
※1 現役並み所得者については、3割負担
※高額療養費制度:家計に対する医療費の自己負担額が過重なものとならないよう、月ごとの自己負担限度額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度(70歳未満かつ一般所得の場合、上限額は約8万円)
国民医療費の使途
○国民医療費の診療種類別構成(平成27年度)
国民医療費約42兆円の内訳は、入院医療費>入院外医療費>薬局調剤費用の順に割合増。
- 入院医療費が最も高い(H21年度までは入院がが最も高かった)
→医薬分業・院外調剤が進んだ結果である。 - 訪問介護は0.3%と少なく見えるが、介護保険から支払われる部分を考慮する。
- 国民医療費の50%は病院、20%強は医科診療所で使用されている。
診療報酬改定
○診療報酬改定のプロセス
診療報酬は、2年に1度改定が行われる(介護報酬は、3年に1度)。
※6年に1度は、ダブル改定(平成30年が該当)
改定のプロセスとして、
- 社会保障審議会(社保審):基本方針を決定
- 内閣:改定率を決定
- 中央社会保険医療協議会(中医協):具体的内容を決定
この3つのプロセスを経て、診療報酬改定が実施される。
中医協の構成は、支払側委員・診療側委員各7名、公益委員6名の計20名となっている。
○平成30年度診療報酬改定の概要(時事問題)
診療報酬本体として、0.55%プラス改定。薬価は、薬価制度の抜本的改革も含め▲1.65%と大幅なマイナス改定となっている。
○DPC/PDPSの概要
DPC制度における診療報酬の額は、DPC(診断群分類)ごとに設定される「包括評価部分」と「出来高評価部分」の合計額となる。
- 包括評価部分:入院、検査基本料、検査料、画像診断、投薬 など
- 出来高評価部分:医学管理料、手術、麻酔など
DPC病院においては、在日日数を削減する(コントロール)ことが経営的側面から重要になってくる。
いわゆる「混合診療」めぐる問題
○保険外併用療養費制度とは
特定療養費制度が2006年に、「保険外併用療養費制度」に再編された。
- 評価療養:適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養
- 選定療養:被保険者が自らの選定に係るもの
また、2015年(平成27年)には患者申出療養が導入された。(平成28年4月施行)
○患者申出療養費制度(時事問題)
- 患者さんからの申出を起点とする仕組み
- 将来的に保険適用につなげる仕組み
- データ、科学的根拠の集積をする仕組み
- 臨床研究中核病院のかかわり
我が国の医療保障制度の国際的な位置づけ
第2章 医療提供体制の仕組み
わが国の医療提供体制の特徴
- 労働集約的ではなく、資本集約的=労働節約的な医療提供体制
- 医療施設体型が、連続的な構造(無床⇒有床診療所⇒中小病院⇒大病院)になっている
- 民間主導型の医療体型(民間病院が約8割を占める)
医療計画の全体像
医療計画においては、以下のポイントを中心に学習しておく必要があります。
- 医療計画の柱
- 5疾病5事業
- 基準病床数
- 地域医療構想
- 医療計画の計画期間について
5疾病5事業
医療計画に、必ず網羅されていなければならない内容の一つが「5疾病・5事業」です。
- 5疾病:がん・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病・精神疾患
- 5事業:救急医療・災害医療・へき地医療・小児医療・周産期医療
これら10個については、必ず暗記するようにしましょう!どちらかにおいて、間違い探しのような出題が頻発しています!
インフォームド・コンセント
- 医療提供者からの「説明」、患者の「同意」によるもの
- 医療関係者による、必須ではなく、あくまで「努力義務」である
- 法的な位置づけがある⇒医療法
- 患者の権利、倫理四原則に深く関与している
地域医療構想の全体像
- 「都道府県」ごとに策定される
- 「二次医療圏」単位での策定が原則
- 医療機能を高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4機能への分化推進
2025年に向けて、
- 高度急性期・急性期:24万床が過剰
- 回復期:26万床が不足
つまり、急性期病床は削減↓、回復期病床は増加↑を目指す方向性である!
また、1都3県(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)、大阪府、沖縄県においては、将来病床不足が見込まれている。
救急医療体制
救急医療関連は、高頻度出題項目ですので、しっかりと覚えておきましょう!
- 三次救急(救命救急):重篤な救急患者の24時間体制での受け入れ
- 二次救急(入院を要する):入院を必要とする重症患者の受け入れ
- 一次救急:比較的軽症な救急患者の受け入れ
救急医療の現状について、
- 近年、救急出動・搬送人員は過去最高を毎年更新
- たらいまわし状況の未解消
- 搬送人員の区分:高齢者が5割以上、軽症・中等症が多い
医師の養成をめぐる諸問題
医師数・医学部入学定員の推移から
- 医師数増加(4000人/年)、医学部定員(9000人/年)
- 人口10万人対医師数は増加傾向だが、先進国の中では低値
- 人口10万人対医師数において、徳島県(最多)、埼玉県(最少)となっている
- 診療科の偏在:外科・産婦人科の減少、女性医師の増加
医学部入学定員へ影響を与えた外部環境については、しっかり覚えておきましょう!
- 1970年代:医師数 増加↑
- 1980年代:医師数 減少・横ばい→
- 2000年代:医師数 増加↑
臨床研修制度
医師免許取得後の2年間の臨床犬種制度についても、問われるケースが多くなっているため、必修の有無、研修期間、診療科はしっかりと覚えておくようにしましょう!
- 必修科目:内科(6か月)、救急(3ヶ月)、地域医療(1ヶ月)
- 選択必修:外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科の5科目から2科目を選択
医療事故と医療安全対策
2015(平成27)年10月より医療事故調査・支援センターが設立され、医療事故調査制度が施行された。
第3章 最近の医療政策をめぐる動向と今後の展望
少子高齢化の進展と医療政策の課題
「人口減少社会」:2015(平成27)年現在、1億2,711万人以降、減少の一途をたどる。
「労働力減少社会」:年少人口減少、高齢者人口増加
在宅医療の推進と地域包括ケアの構築
在宅医療推進に対する取り組みを時系列で把握しておくと良いでしょう。
- 「在宅療養支援診療所」制度の導入(2006年)
- 機能強化型・連携強化型の制度の導入(2012年)
- 在宅専門診療所の評価新設(2016年)
※機能強化型の要件について、医師の在籍数、実績について理解をしておきましょう。
療養病床の再編
- 一般病床
- 療養病床
- 精神病床
- 結核病床
- 感染症病床
療養病床は、「医療保険適用型の医療療養病床」と「介護保険適用型の介護療養病床」に分類されています。
後者(介護保険適用型)は、2018年3月末に廃止された。
公立病院の経営改革
テキスト2 ポイント講座
簡単ではありますが、医療経営士3級のテキスト2「日本の医療政策と地域医療システム」を学習するポイントを解説していきました。
随時、その他テキストも掲載していきますので参考にしていただけると幸いです。
