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【テキスト3】医療経営士3級資格試験 重要ポイント講座

[テキスト3]日本の医療関連法規

本記事は、「医療経営士3級」資格試験の公式テキストの1項目であり、医療にまつわる法規(法律)などをは使う範囲です。その「日本の医療関連法規」のポイントをまとめていきます。本テキストは、出題率も非常に高いため、集中して学習に取り組むことが合格への近道です!

テキスト出題範囲と割合
★本ページの読み方★
  • ポイントは概略であって、詳細はテキストorなっとくQ&Aなどで確認してください。
  • 直近の出題傾向も加味して、ポイント整理をしております。
  • 法改正、制度改正など一部最新情報でない部分は、あらかじめご了承ください。

第1章 医療関連法規の全体像

医療関連法規とは

医療関連の「法規」について、どこが、どのような内容を発信しているかをまとめておきましょう!

法規 発信場所 内容
①憲法 日本国の最高法規。あらゆる法規や行政活動は憲法の規定に反してはならない
②法律 国民の権利・義務に重大な影響を与える次項や行政の活動・権限を規定する
③政令 内閣 法律の細部について定めるもの
④省令 各省大臣 法律の細部について定めるもの
➄告示 各省大臣 ④省令と同じ効力を有する ※表現形式が違い、箇条書き・一覧表などで記述
⑥条例 都道府県・市区町村 ②法律の地方版
⑦規則 知事・市区町村長 「命令」の地方版 ※
⑧通知 各省 都道府県知事などに各省から法令の解釈などを通知する文書

第2章 医療法

医療法は、1948年に施行され、国民が適正な医療を受けられることを目的に制定された法律です。

医療法改正の歴史

医療法は、現在(2018年)までに8回の改正が行われています。改正に伴う、主なキーワードをまとめます。

  1. 第一次医療法改正(1985年):「量」から「質」、病床の総量規制、都道府県による医療計画の導入
  2. 第二次医療法改正(1992年):「特定機能病院」と「療養型病床群」の制度化、広告規制緩和
  3. 第三次医療法改正(1997年):「地域医療支援病院」の制度化、広告規制の一層の緩和
  4. 第四次医療法改正(2000年):「一般病床」と「療養病床」とに二分化、病床数の制定、臨床研修の必修化
  5. 第五次医療法改正(2006年):医療情報提供の推進、社会医療法人制度の創設
  6. 第六次医療法改正(2014年):病床機能報告制度の創設、地域医療構想(現:地域包括ケアシステム)の策定
  7. 第七次医療法改正(2015年):地域医療連携推進法人制度の創設、医療法人のガバナンス強化
  8. 第八次医療法改正(2017年):広告規制の強化、認定医療法人の改正

総則

病院の類型として、「地域医療支援病院」と「特定機能病院」の2つについて定めています。この2つの違いについて、しっかりと覚えておきましょう!

地域医療支援病院 類型 特定機能病院
都道府県知事 承認者 厚生労働大臣
赤十字病院、医療センター、市立病院など 施設 大学病院など
200床以上 規模 400床以上
紹介患者中心の医療提供
ⅰ)紹介率が80%以上
ⅱ)紹介率が65%以上かつ逆紹介率が40%以上
ⅲ)紹介率が50%以上かつ逆紹介率が70%以上
体制・能力 高度の医療提供
紹介率50%以上かつ逆紹介率40%以上
紹介患者中心の医療を提供することにより、地域の中心的な役割を担う病院 役割 高度医療の開発・提供を担う病院
地域の医療従事者のための研修を行わせる能力(年間12回以上主催) 研修体制 高度医療に関する研修を行わせる能力

 

医療安全支援センターの設置

  • 都道府県保健所を設置する市・特別区は、設置が求められる。
  • 主な事業は、①家族・患者からの苦情・相談に対応し、必要に応じ病院・診療所等へ助言する、②地域に向けて医療安全管理に関する情報提供、③医療従事者に対する研修の実施

医療の広告規制

◆規制対象となる媒体:チラシ、ポスター、看板、折込広告、TVCM、WEBサイト、メルマガ

規制内容 禁止される具体的事例
虚偽広告 「絶対安全な手術です!」「加工・修正した術前後の写真」等
比較優良広告 「有名人○○も当院をオススメ!」「県内一の患者数」等
誇大広告 「知事の許可を得たクリニック」等
公序良俗違反広告 わいせつ・残虐な画像・映像の使用
治療等の内容・効果の体験談 「〇ヶ月で痩せました!」「○○治療で、美肌になりました!」等
誤認させる恐れのあるビフォーアフター写真など 誰でも痩せるなどの記載とともに、術前後の写真を掲載する。※説明が十分にされている場合は、規制対象外のケースもある。
品位を損ねる広告 「今なら○○円でキャンペーン実施中!」「治療し放題プラン」等

※赤字部分が、第8次医療法改正にて追記されたポイント

広告規制は、第8次医療法改正(2017年)にて強化されたポイントです。第24回(2018/6)医療経営士3級試験にも出題されるなど、今後の出題頻度は高まると考えられます。

病院・診療所等の開設・管理

病院・診療所等における、以下の言葉は整理しておきましょう!

  • 開設者:一般的にいう「経営者(オーナー)」
  • 管理者:俗にいう「院長」

開設者(オーナー)は、医師(歯科医師)でなくてもOK管理者(院長)は、医師(歯科医師)でなくてはNGなお、副院長は看護部長や事務長が就任することは可能。

業務委託

病院が委託する業務ベスト3(「2015年医療関連サービス実態調査」)

  1. 検体検査(委託割合:97.3%)
  2. 医療廃棄物処理(97.0%)
  3. 寝具類洗濯(96.6%)

2012年と2015年の医療関連サービス委託率の推移を見たところ、「滅菌消毒」「院内情報コンピュータ・システム」「医療情報サービス」「院内物品管理」「在宅医療サポート」の5業種において委託率の上昇がみられる。

病院の施設基準

病院は、厚生労働省令により、人員・施設基準が定められている。

以下だけでも覚えておく!

  • 人員基準
  • 必要施設(部屋)
  • 地域医療支援病院・特定機能病院の施設基準(病理解剖室、研究室、講義室、図書室など)

病床機能報告制度

病床機能(高度急性期機能/急性期機能/回復期機能/慢性期機能)の基準日(2014年7月1日)から6年が経過した時点における病床機能の予定を、都道府県知事に報告する。

医療法人

  • 医療法人の理事のうち1人は、理事長とする。理事長は、医師(歯科医師)である理事から選出
  • 原則、管理者を理事に加えなければならい。※複数開設し、都道府県知事の許可がある場合、加えないことができる。
  • 医療法人の合併が可能(「医療法人社団」と「医療法人財団」との合併)
  • 持ち分なし医療法人への移行促進(2014/10/1~2017/9/30)※(2017/10/1~2020/9/30へ延長)

社会医療法人

  • 本来の業務に支障のない限り、厚生労働大臣が定める収益業務を行える。
  • 医療計画に記載された5疾病5事業を提供する
  • 税制上の優遇措置(法人税は、0%
  • 社会医療法人債という「公募債」を発行することができる

収益業務とは、農業・林業・漁業・製造業、情報通信業、運輸業・卸売/小売業・不動産業(土地建物売買を除く)・飲食店/宿泊業・医療/福祉・教育/学習支援・複合サービス事業・サービス業など広範囲に及ぶ。

「鉱業」「建設業」「金融業」は対象外

第3章 医療従事者に関する法規

医療従事者に関する法規とは

承認元 職種
医療従事者に関する法規 国・法律 医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師など
厚生労働省令・その他法規 省令など 介護支援専門医(ケアマネジャー)、介護職員など
民間資格 民間団体・企業 診療情報管理士、医療事務など

医師法

  • 医師:医師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない
  • 臨床研修:大学病院または厚生労働大臣指定の病院で2年以上の臨床研修を受けなければならない
  • 応召義務:医師は、診療治療の求めがあった場合には、「正当な事由」がなければ、これを拒んではならない。
正当な事由とは?

認められる:医師の不在または病気等により事実上診察が不可能な場合
認められない:診療費未払い、時間外、往診拒否、専門外(※1)

専門外の位置づけ

専門外の疾病に対しても、応急処置等はどの専門であっても実施が可能である。専門外の場合は、その他適切な保険医療機関への紹介など適切な措置を講じる必要があるとされる。

保健師助産師看護師法

職種 免許権者
保健師 厚生労働大臣
助産師
看護師
准看護師 都道府県知事

その他の医療従事者に関する法規

第24回試験でも出題されましたが、各医療従事者の定義を問われるケースもあるためポイントを押さえておきましょう。

  • 理学療法士

理学療法とは、身体に障害があるものに対し、その基本動作の回復を図るため、①治療体操その他の運動を行わせ、②電気刺激・マッサージ・温熱その他の物理的手段を加えること。

  • 作業療法士

作業療法とは、身体・精神に障害があるものに対し、その応用的動作能力・社会的適応能力の回復を図るため、手芸・工作その他の作業をさせること。

  • 栄養士・管理栄養士

①栄養士(都道府県知事免許):栄養の指導に従事する、②管理栄養士(国家資格):栄養士業務のうち複雑又は困難な栄養の指導に従事する

  • 言語聴覚士

音声機能・言語機能・聴覚に障害がある者について、その機能の維持・向上を図るため、①言語訓練その他訓練、②必要な検査、③助言・指導その他援助を行うこと。

  • 社会福祉士

①心身の障害等により日常生活を営むのに支障のある者の福祉に関する相談に応じ、②助言・指導、③福祉サービス・保険医療サービス提供者との連絡調整、④その他調整を行うこと。

  • 介護福祉士

①心身の障害等により日常生活を営むのに支障のある者に対して支援・介護を行い、②その者およびその家族などに対して介護に関する指導を行うこと。

  • 精神保健福祉士

①精神障害を有する者の相談に応じ、②助言・指導、③必要な訓練その他の援助を行うこと。

第4章 医療保険制度に関する法規

医療保険制度の概要

対象者 被保険者・被扶養者 ※国保(国民健康保険)では、全て被保険者
運営者 保険者
医療保険の種類 健康保険・共済組合・船員保険・国民健康保険・後期高齢者医療保険など
その他 労災保険・自賠責保険など

保険診療と自由診療

保険診療 自由診療 混合診療
疾病・負傷など医療保険制度の対象 疾病の予防、健康増進、美容のための医療、先進医療など 1つの疾病に対して、保険診療と自由診療を併用すること
自己負担上限あり(1~3割負担) 全額自己負担
風邪での受診、虫歯の治療など 健康診断、予防接種、美容整形など ※日本では、禁止されている!
保険外併用療養費

一部の自由診療についてのみ例外的に混合診療を認めている。つまり、自由診療部分は全額自己負担だが、保険診療の部分は医療保険がまかなう

例)差額ベッド代、予約診療、先進医療の一部、歯科診療の一部など

健康保険法と国民健康保険法

保険給付の種類
現物給付 療養の給付 現金給付 療養費
入院時食事療養費 埋葬費
入院時生活療養費 出産育児一時金・出産手当金
保険外併用療養費 傷病手当金
訪問看護療養費 高額療養費

「出産手当金」「傷病手当金」は、国民健康保険では給付対象外となる。

評価療養と選定療養
評価療養 選定療養
適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要とされるもの。 被保険者の自らの選定に係るもの。
①先進医療
②医薬品の治験に係る診療
③医療機器の治験に係る診療
④薬事法承認後で保険収載前で医薬品の使用
⑤薬事法承認後で保険収載前の医療機器の使用
⑥適応外の医薬品の使用
⑦適応外の医療機器の使用
①特別の療養環境(差額ベッド)
②歯科の金合金等
③金属床総義歯
④予約診療
⑤時間外診療
⑥大病院(200床以上)の初診(紹介状なし)
⑦小児う蝕の指導管理
⑧制限回数を超える医療行為 ほか

医療保険の「療養の給付」に関する法令

健康保険法では、「保険医又は(中略)保険薬剤師は、厚生労働省令で定めるところにより、健康保険の診療又は調剤にあたらなければならない」と規定している。(第72条)

これを受けて制定された厚生労働省令はが、「保険医療機関及び保険医療養担当規則」(=療担)である。

「特定の保険薬局への誘導の禁止」は、療担において示されている内容である。薬局関連であるため、薬事法と混同しないように注意。

診療報酬点数表

  • 診療報酬は、「1点=10円」である。
  • 算定の基本は、「出来高払い方式」(一般の診療など)、「包括払い方式」(DPC病院など)がある。
  • 診療報酬は、「医科」「歯科」「調剤」3種類に分かれている。

医療保険制度以外の関連法規

  • 生活保護法:生活保護費受給者の医療費は、本人の一部負担はない。
  • 労働者災害補償保険法:医療費は、労災保険が現物支給する。「1点=12円」(非課税医療機関)※一部、11.5円
  • 自動車損害賠償保障法:自動車の所有者が強制加入。

介護保険法

  • 介護保険制度は、2000年に発足された
  • 保険者:市町村および特別区(東京23区)
  • 被保険者:40歳以上の国民
  • 保険給付対象者:65歳以上の要支援(2段階)、要介護者(5段階) 合計7段階
  • 介護保険料を納付しても、被保険者証は交付されない
  • 自己負担:1割(一定以上所得者2割)
  • 介護報酬は、3年に一度改定(診療報酬は、2年に一度)
  • サービス:居宅サービスと施設サービス

第5章 広義の医療関連法規

病院・診療所等と職員との関連に関する法規

YOUYOU
YOUYOU
労働基準法関連は、第24回でも出題されています。医療業界においても、働き方改革が進められている中話題としては押さえておく必要のあるポイントです。

病院・診療所等とそこに勤務する医師・看護師・その他の職員とは、「労働契約」という関係にある。つまり、労働基準法によって労働者の権利と、使用者の義務が定められている。

労働契約の基本

以下は、書面によって明示しなければならない。

  • 労働契約の期間
  • 就業の場所と従事すべき業務
  • 始業・就業の時刻
  • 所定労働時間を超える労働の有無
  • 休憩時間
  • 休日・休暇
  • 賃金の決定、計算・支払いの方法など
  • 退職に関する事項

昇給や賞与などは、書面での提示は必要ないが、口頭などで明確に明示しなければならない。

労働時間 ・原則)「週40時間労働」(1日8時間、休憩時間除く)
・例外)「変形労働時間制」(4週間の期間内に160時間以内で勤務時間を変動できる ※事前届出必要)
休憩時間 6時間以上の場合、45分
8時間以上の場合、1時間
休日 1週間に1回または4週間に4回以上
時間外の割増賃金 時間外労働:25%以上(所定の士業・就業時間以外の時間)
休日労働:35%以上(所定の休日)
深夜労働:25%以上(午後10時~午前5時)
年次有給休暇 6か月以上継続勤務した労働者に対して、与えなければならない。(最初は、10日以上
就業規則 【必須記載事項】
①始業・就業の時刻、休憩時間、休日・休暇など

②賃金の決定、計算・支払い方法、賃金の締め切り・支払いの時期、昇給など
③退職など
【任意記載事項】退職手当、手当・賞与など
解雇  解雇を行うには、少なくとも30日前に予告しなければならない。

テキスト3 ポイント講座

簡単ではありますが、医療経営士3級のテキスト3「日本の医療関連法規」を学習するポイントを解説していきました。

随時、その他テキストも掲載していきますので参考にしていただけると幸いです。

☚ 【テキスト2】医療経営士3級資格試験 重要ポイント講座

【テキスト4】医療経営士3級資格試験 重要ポイント講座 ☛

【総集編】医療経営士3級のための資格試験対策ポイント講座昨今、資格取得ニーズが急上昇中の「医療経営士」の資格。 情報があまりにも少ないという点から、独断と偏見で自身が学習した内容を元に3級試験...

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