FP資格試験について調べていると試験実施機関として、日本FP協会と金融財政事情研究会の2つがあることに疑問を持った方もいるかもしれません。
同時に、どちらで試験を受けたほうがいいのか?2つの実施機関の違いは何か?という疑問も生じているのではないでしょうか?
この記事では、そんな試験機関の違いが試験取得前後でどのような違いがあるあるのか、そして”どっちを選べばいいのか?”というポイントで私見も含めて記載していきたいと思います。
本記事を参考に、受験機関をサクッと決めて、少しでも早く試験対策へ移りましょう!
Contents
結論:FP協会ときんざいの違いは?
初めに、FP資格試験(FP技能士)においては、以下の2つの試験実施機関があります。
- 日本FP協会(以下、FP協会)
- 金融財政事情研究会(以下、きんざい)
FP資格取得における一番の違いは、3級・2級における「実技試験」の項目が異なることです。
FP協会 | きんざい | |
3級 | 資産設計提案業務 | 個人資産相談業務 |
保険顧客資産相談業務 | ||
2級 | 資産設計提案業務 | 個人資産相談業務 |
生保顧客資産相談業務 | ||
損保顧客資産相談業務 | ||
中小事業主資産相談業務 |
上記のように、実技試験の項目は「きんざい」の方が複数選択が可能という特徴があります。
つまり、FP資格試験においては、①どの実技試験を選択するか②それ以外のポイント(後述)の2点から申し込み受験機関を決めるのが良いでしょう。
各実技試験の項目の違いなどについては、得意・不得意、興味関心の有無など、難易度などが関係してくる部分であります。2級FP試験の5つの実技試験の違いについては、別記事にまとめていますので参考にしてください。
その他:異なる点のまとめ
その他、実技試験の項目に付随する内容も含め、受験機関による違いをまとめていきます。
1.問題の難易度
試験問題の難易度は、「きんざい」の方が高い(難しい)傾向があります。
そこを出すか?と思ってしまうようなマニアックな問題や細かな点が出題されていると感じます。
FP協会 | 試験機関 | きんざい |
実務的内容 | 出題傾向 | 基礎的内容 |
△ | 参考書対応度 | ◎ |
多い | 出題問題数 | 普通 |
2.試験の問題数
試験問題数は、「FP協会」が多い傾向があります。
また、2級実技試験においては問題冊子のページ数にも違いがあり、FP協会は約30ページ程度、きんざいは約20ページ程度となっています。
問題数だけで言えば、きんざいの方がお得に見えるかもしれませんが、1問当たりの配点が高くなり、1つのミスが合否に大きく影響してしまう可能性があります。
3.受験会場
FP協会ときんざいとでは、受験会場が異なっています。ただ、基本的にはどちらの試験機関であっても47都道府県での受験が可能です。
しかし、きんざいの方が受験者数が多いこともあり、より細かく複数個所に会場設定がされています。
各試験機関の受験地については、下記公式サイトでご確認ください。
- きんざい:市町村単位
- FP協会:過去受験会場
FP協会ときんざいで同じな点
1.学科試験の問題内容
受験機関が異なる場合でも、学科試験の問題は共通となります。
一方で、前項でも紹介したとおり、実技試験の問題は、FP協会ときんざいとでは大きく異なるため受験期間選択には大きく関係してくるポイントです。
2.受験料・受験日
受験料・受験日は、共通です。どちらで受験した方が得といったことはありません。また、実技試験項目によっても、違いはありません。
3.FPの資格価値
中には、FP協会ときんざいどちらで取得した資格の方が良いのか?という疑問がある方もいるかもしれません。
受験機関(FP協会・きんざい)が異なっている場合でも、合格をすれば両者ともに国家資格である「FP技能士」の資格を取得することができます。
また、受験機関によって「FP技能士」の優劣などは全くありません。大前提として、受験機関が異なってはいますが、ある一定レベルの知識を有していることが試験合格で認められているからですね。
また、FP資格には上位資格として1級FP技能士やCFPなどがあります。
実は、上記資格の受験要件として2級FP技能士の資格取得が必要になってきます。
この2級FP技能士を取得するにあたって、FP協会、きんざいどちらの受験機関で合格した場合でも、上位資格(1級FP技能士・CFPなど)の受験要件として認められます。
よく耳にするのが、CFPは日本FP協会が認定する資格なのでFP協会で受験をしていないといけない!という話。これは、まったくの誤りです。
全てに共通することですが、資格の価値、各種上位資格取得にあたっては、受験機関による違いは全くありません。
FP協会・きんざいどちら受験がオススメ?
実技試験の傾向に応じて、FP協会ときんざいのどっちがオススメかを見ていきましょう。
最終的には、ご自身で過去問などを確認してみたり、実際に学科参考書を学習しながら、興味のある分野の実技を受験されることをオススメします。
合格第一の方:FP協会
きんざいとFP協会の試験問題(実技)を比較してみると、FP協会の方が比較的簡単であり、日常生活に関連のある題材が出題される傾向があります。
ザックリ言うと、きんざいはしっかり学習し、理解していないと解答できないけれども、FP協会は、ニュースや新聞、マネー関連の周辺知識があればある程度解答を導くことが可能という傾向があります。
仕事をしながらなど、学習時間の確保が困難な方にとっては、万全の試験対策ができない方もいるかもしれません。
ある程度の学習は必要ですが、何が何でも合格したいという方にとってはFP協会での受験がオススメです。
実際、FP協会ときんざいでの合格率を見た場合でも、FP協会の方が高い傾向に出ています。
特定分野の実務者:きんざい
実技試験項目を比較すると、FP協会は1つなのに対して、きんざいは2級では5つから選択が可能です。
FP協会の資産設計提案業務は、幅広くFP関連知識を問われる問題設定になっております。(FPの学習範囲、6分野全て)
しかし、きんざいでは出題されない範囲があります。例えば、生保顧客・損保顧客資産相談業務においては、6分野中2分野は出題されません。
既に、保険会社などで実務をこなしている方にとっては、業務知識+αの学習で試験合格できるとも考えられます。
時間に余裕がある方:きんざい
私自身の受験経験を踏まえると、2級試験までは学習時間がしっかり確保できれば、ほとんどの方は合格することが可能だと感じています。
ここで示す時間に余裕がある方とは、試験日まで4か月~半年の期間がある方、トータルの学習時間150時間程度(1日1時間以上)を確保できそうな方です。
特に、きんざいの実技試験対策においては、対応問題集が複数出版されているためより綿密な対策が可能となります。きんざいは、過去問や問題集がしっかりと理解できていれば、試験当日も比較的ペンがすらすらと動き、解答が可能なはずです。
試験対策の時間確保がしっかりとできる方は、きんざい受験の方が合格への近道になるかもしれません。
実務経験者:FP協会
FP協会の出題問題は、きんざいと比較すると、実務的かつ基本的事項を問われるケースが多いです。
キャッシュフロー表、確定申告書、新聞記事、時事問題などから出題されるのが特徴です。逆に言えば、普段から上記のような知識や情報に触れている方にとっては、改めて学習をしなくても解答できるとも考えられます。
実務の分野にもよりますが、マネー関連に幅広くかかわっている場合はFP協会、生命保険、金融関連など特定分野に関わっている場合はきんざいでの受験がオススメです。
まとめ
FP試験における、受験機関(FP協会・きんざい)の違いについて紹介してきました。
主な違いとして、実技試験の受験項目が違う点が挙げられます。つまり、受験機関の選択においては、実技試験の項目で選ぶことが大事です。
また、試験問題の出題傾向も鑑みると、以下のような受験機関の選び方もオススメです。
FP協会がオススメ | きんざいがオススメ |
試験合格が第一の方 | 特定分野の実務経験者の方 |
実務経験者の方 | 時間に比較的余裕のある方 |
しかし、受験機関を選ぶ際には、一度過去問題などを自身で確認し、受験するにあたって興味を持てるかといった視点も重要になってくると思います。
これからFP資格受験を考えている方にとって、合格の近道の参考になれば幸いです。
▼時間のない方&独学のみでは不安な方▼