[テキスト1]医療経営史
本記事は、「医療経営士3級」資格試験の公式テキストの1項目であり、医療業界の歴史や基礎部分がまとめられた範囲です。その「医療経営史」のポイントをまとめていきます。
- ポイントは概略であって、詳細はテキストorなっとくQ&Aなどで確認してください。
- 直近の出題傾向も加味して、ポイント整理をしております。
- 法改正、制度改正など一部最新情報でない部分は、あらかじめご了承ください。
第1章 医療の起源
第2章 東西の医学
第1章、第2章において最も重要なのは、医学史における人物と代表的な内容とのマッチングです。以下の人物と内容は繰り返し確認し、覚えるようにしておきましょう!
重要人物名 | キーワード | 代表的な内容 |
イムホテップ | 治療伸 | 古代エジプトを代表する治療伸 |
アスクレピオス | 治療伸 | 蛇が巻き付いた杖。ギリシャの治療伸 |
ヒポクラテス | 医学の父 | 経験医学:経験こそあらゆる医学知識の原点 |
神農 | 中国の医神 | 百草を舐めて、薬草を見つけた |
ガレノス | 4体液説 | 4体液:血液、粘液、黄疸汁、黒胆汁 |
ウィリアム・ハーヴェイ | 血液循環説 | 静脈弁を決め手に、血液の体内循環を発見 |
G.B.モルガーニ | 人体解剖 | 病気の病巣を発見。ガレノス病因説を否定 |
レントゲン | X線 | 画像診断学の発展。X線を発見する |
レーウエンフック | 病原性細菌 | 顕微鏡の登場により、細菌を発見。 その他:ルイ・パスツール、エールリッヒ、コッホ |
ビルロート | 胃ガン摘出手術 | 世界で初めて胃ガン摘出。外科革命 |
メンデル | 遺伝法則 | 電子顕微鏡による、細胞内構造の解明 |
第3章 病院の歴史
特筆すべき項目はなし。テキスト所有者においては、一読程度。持っていない場合は、出題されても1問程度と予想されているため、確認は不要・・・。
第4章 病院施設の変遷
病院のBCP(事業継続計画)
①地震災害などにおいて、継続的に事業を行うBCP(事業継続計画)は、病院においても非常に重要とされる。
◆電気・水・エレベーターの停止は病院機能維持に大きく影響する
- 停電によるエレベーター使用不可に伴う、患者搬送が困難
- コンピュータや医療機器の故障
- 医療材料などの洗浄・消毒・滅菌が、停電や水の停止で使用不可
- スタッフの精神状態(平常時と同様に活動ができるかどうか)
②DMAT(Disaster Medical Assistance Team:災害派遣医療チーム)
- 阪神・淡路大震災を契機として制度化
- 構成員:医師、看護師、業務調整員(救急救命士、薬剤師などの医療職および事務職員など)
- DMAT1隊の構成は、医師1名、看護師2名、業務調整員1名の4名が基本とされる
- 災害の発生直後の急性期(概ね 48 時間以内)に活動が開始できる機動性 を持つ
- DMAT=ディーマットと読む
DMATに似た用語として、DPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team:災害派遣精神医療チーム)がある。医療支援のみならず、災害現場においてはストレスなどに対する、心理的な支援も必要になってくるためDPATが発足されました。
第5章 戦後から現代までの医療経営史
医療経営通史
①1950年代:医療体制の復興
- 1948年に医療法が制定され、医療法人制度が発足した
②1960年代:社会保険医療体制の整備
- 1961年:国民皆保険が実現した
- 1962年:公的病院に対し、病床規制が導入された
- 自由開業性の継続により、民間病院による病院医療体制が構築された
- 1963年:老人福祉法が制定された
③1970年代:高齢化社会を意識した医療体制の整備
- 1970年:高齢化率7%超え ⇒ 高齢化社会
- 医療需要への対応:医師数の増加、地域偏在の是正 ⇒ テキスト2[医学部入学定員の推移] 参照
- 1973年:老人医療費の無料化
④1980年代:医療資源の量的規制と医療費抑制へ
- 1983年:老人保健法が制定 ⇒ 老人医療費が一部負担へ
- 1989年:ゴールドプランが策定 ※現在の、「地域包括ケア」の概念となっている
➄1990年代:医療費適正化の時代へ
- 医療機能の分化と患者への情報提供の推進が図られた
⇒第2次(1992年)・第3次(1997年)医療法改正によって、病院機能の分化、インフォームド・コンセントの規定
⑥2000年代:医療の効率化と質の確保
- 2000年:医療事故のクローズアップ(患者、薬剤の取り違え、医療過誤など) ⇒ 医療安全対策へ
- 2002年:診療報酬改定で、初めて後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進策が盛り込まれる
- 2004年:株式会社の特区における医療機関開設許可
⑦2010~2012年:社会保障・税一体改革大綱の制定
- 2010年:診療報酬改定で、10年ぶりのプラス改定
- 2012年:社会保障・税一体改革大綱が閣議決定 ※1
※1:高度急性期への医療資源の集中投入、地域包括ケアシステム等の構築
⑧2013年:国民が安心してかかれる持続性のある医療の実現に向けて
- 2013年:「健康・医療戦略室」が内閣官房に設置
- JCI:国際的医療施設認証(米国) ⇒ 医療サービスの質が国際標準レベルである証
医療保険制度の歩み
高齢者(老人)医療の発達
介護保険制度
- 2000年より介護保険制度スタート
- 介護保険法では、介護報酬改定は3年ごと(診療報酬は2年ごと) ⇒ 2018年はダブル改定
資金調達手法の多様化と消費税
①資金調達手法の変遷
- 過去:市中銀行や独立行政法人市福祉医療機構による貸し付け
- 1990年代:診療報酬債権の流動化(診療報酬の早期現金化)
- 2000年:社会医療法人関の発行
- 2005年:PFI(民間から支援を得る方法) ⇒ 第一号(高知医療センター)
- 近年:不動産の証券化を応用した流動化手法であるREIT(不動産投資信託:リート)
②消費税
- 2014年:消費税5% ⇒ 8%
- 2019年10月:消費税8% ⇒ 10%
- 消費税増税の使用用途は、年金や医療など社会保障費に充てる方針
医療の情報化と画像診断機器の発達
医療におけるデジタル化の変遷について確認しておく。
前回試験では、画像診断機器(MRI・CT・PET)の設置・使用状況について問われる問題が出ていました。設置数としては、CT>MRI>PETである程度は記憶しておきましょう。
医薬分業と後発医薬品の利用促進
- 1974年:処方箋料が5倍に引き上げ(10点 ⇒ 50点) ※1点=10円
- 薬価は、近年全てマイナス改定
- 1993年:ジェネリック医薬品(後発医薬品)の利用促進
- 2002年:後発薬の院外処方、調剤に対するインセンティブを導入
- 代替可能な先発品を後発品に置き換えたとすると、削減率は17%となる
医師サイド:一般名処方加算(2段階)
診療報酬点数 | 備考 | |
一般名処方加算1 | 6点 | 1枚の処方箋において、後発医薬品のある全ての医薬品が一般名処方されている場合 |
一般名処方加算2 | 4点 | 1枚の処方箋において、1品目でも一般名処方がされている場合 |
調剤薬局サイド:後発医薬品調剤体制加算(3段階)が処方箋1枚あたりに加算される
後発医薬品の調剤割合 | 後発医薬品調剤体制加算 |
75% | 18点 |
80% | 22点 |
85% | 26点 |
健康診断のあゆみ
目的:早期発見による、発症あるいは重症化抑制、早期回復、医療費の抑制につながる
- 法定健康診断と任意検診がある
- 法定健康診断:労働者・学童・学生・乳幼児・特定保健診査(40~74歳)
- 任意検診:人間ドック・がん検診
※「健診」と「検診」の違い:「健診」は健康であるか否かをしらべること、「検診」は特定の疾病の発見を目指すこと。人間ドックは「健診」、がん検診は「検診」である。
予防接種のあゆみ
日本で接種可能なワクチンの種類と特徴を整理しておく必要があります。
ポイント:定期接種or任意接種、生ワクチンor不活化ワクチン
テキスト1 ポイント講座
簡単ではありますが、医療経営士3級のテキスト1「医療経営史」を学習するポイントを解説していきました。
随時、その他テキストも掲載していきますので参考にしていただけると幸いです。