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MRと医療経営士の“相性”を本気で考えてみた!!

医療経営士といえば、医療機関勤務の方を始め、医療業界関連者の方々が取得を目指している昨今人気の資格の一つです。その中でも、MR(Medical Representative)の方々の受験が増加しているともいわれています。

今回は私自身のMR経験も踏まえ、医療経営士の知識がMR活動にどのような影響をもたらすのかについて本気で考察してみようと思います。

YOUYOU
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私は、MR職を7年経験しました。現在は、人材育成に携わる職種へ従事しています。ある意味、MR職に医療経営士資格がどのように活用できるかを考えるために資格を取得しました。(2018年6月試験にて「合格」)

「医療経営士」について詳しく知りたい方は、下記記事もご参考にしてください。

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MRを取り巻くのは厳しい環境

MRの皆さんは肌身で感じていることかもしれませんが、昨今の医療業界は非常に激しい逆風に見舞われています。

過去を振り返ると、接待、お中元・歳暮などの贈り物、文献(自社品に関係なく)などを医療関係者へ提供することが当たり前でした。

しかし、MRは、大小はあるが以下のような状況に置かれるようになり、従来通りの仕事のやり方では通用しなくなる未来がすぐそこまで来ているかもしれません。

【共通】
・インフラ(ネット環境)の発達による、情報のフラット化

【国策】
・ジェネリック医薬品の普及促進
・薬価制度改革(長期収載品の引き下げなど)
・医療従事者における「働き方改革」
・地域包括ケアシステム・地域医療連携推進法人などの推進

【業界規制】
・訪問規制強化による面会すらできない・してくれない
・文献提供の制限強化(自社品関連のみ提供可能)
・情報の取り扱い強化(公知情報のみしか公開できない)
・説明会での弁当制限(禁止ではないけど・・・)

これらの事実を反映してか、MR認定センターが発表した「2018年版 MR白書」によると、国内の製薬会社やCSO、医薬品卸売業者に所属するMR数は、2013年度をピークに減少を続けています。17年度も752人減少し、この4年間で3319人減ったことになります。

参照:MR数の推移(Answers Newsより)

MR数の減少は、MR個人の問題ではなく業界全体がおかれている問題ではありますが、売り上げ責任を持つ立場上、他者と同じことを続けているだけでは差別化が厳しくなるのは目に見えています。

話が逸れてしまいましたが、そんなMRにおいて他者(他社)との差別化、自分自身をブランド化する上で「医療経営士」は間違いなくメリットになる資格です!

医療経営の知識は、様々なキッカケを生む!

初めに断っておきますが、MR活動において医療経営士の「資格」があるだけでは全く無意味であり、あくまで医療経営の「知識」が大切になります。

キッカケ1:MRとしての視野が広がる

MR=医薬情報担当者と呼ばれており、医薬品や疾病に関する情報を医療関係者へ提供することを主な業務としています。とはいえ、MRも営業職の側面もあり自身の抱える売上目標達成というノルマを抱えています。

それ故、担当施設、担当医師という「個」に焦点を当てて、MR活動をしてしまいがちです。また、医薬品という自社品の特徴(もっと言えば、メリット)を如何に医師に対して伝え、処方してもらうかを考えてしまいます。

これでは、競合品の多い領域においてはやって・やられての繰り返し、消耗戦になってしまいます。

しかし、医療経営の「知識」を身につけるとどうなるか?

「個」の視点から「面」の視点でMR活動に取り組むことができると感じています。例えば、施設ベースからエリアベースの視点、医師ベースからコミュニティーベースの視点でMR活動を考えることができると思います。

昨今でいえば、地域包括ケアシステムの推進により、一人の患者を施設ではなく地域(エリア)でケアする方針へシフトしていくでしょう。

地域包括ケアが進むと、病院・開業医(クリニック)はそれぞれ役割分担され、患者の流動性が生まれてくると考えられます。その橋渡し役としてMRが何をできるかを考えるべきではないでしょうか?病病連携、病診連携、診診連携などとも言われていますね。

また、MR活動における視野に加えて、国策・医療業界の将来の方向性についての情報にも敏感になります。つまり、他のMRよりも一歩先、先手を打つチャンスをつかむことにつながると考えます。

キッカケ2:MRとしてのコミュニケーションの幅が広がる

医療経営士の勉強範囲は、医療に関する幅広い分野が含まれます。私自身がそうだっただけですが、介護分野の知識は「目からうろこ」でした。

そもそもケアマネがどんな役割を担っているのか、介護報酬制度、特養・老健などの施設の役割など医師や薬剤師、看護師の方々を中心に活動していた時には興味もわかなかったことを知ることができました。

でも、これらの「知識」は売上構築に必要ですか?

上述した地域包括ケアでは、医療機関だけでなく介護領域との包括的ケアが実施されます。つまり、介護分野の従事者(ケアマネ、ケアワーカーなど)とのコンタクトも今後必要になる可能性が十分にあります。すでに、ケアマネとの接点を密にとることで、良好な関係、情報、実績を構築しているMRもいます。

従来のMRは、医療関係者との共通の話題は医薬品、疾患と限られていました。しかし、診療報酬、介護報酬、その他制度の話題、エリアの動向などの情報を付加することでコミュニケーションの深さに加え、コンタクトをとれる職種の幅が広がると思います。

キッカケ3:MRとしてのキャリアが広がる

これはある意味、願望も含まれている部分ではありますね。上記2つの視点から、MR活動で成果が上がれば、間違いなく社内での評価、はたまた給与(賞与)などに好影響が出てくるでしょう。

また、武田薬品工業などではマネジャークラスに資格取得の推奨、その他ノバルティスファーマを含む複数社も資格取得を進めるなどの動きがでてきています。

今後、営業所長などマネジャークラスへの昇進には、「必須」となる知識になる日も来るかもしれません。

ただ、キャリアアップにつながらなくとも、アピールにはなるはずですし、間違いなく医療業界にいる上では身につけて損はないことは言うまでもありません。

MRとしての本業は忘れずに+αを!

平成30年5月18日のRISFAXで「製薬企業の医療経営士活動で懸念」といった記事が出ていました。

MR認定センターの近澤洋平事務局長は本紙に、「労務提供にあたるのでは」と危惧した。医療用医薬品製造販売業公正取引協議会(メーカー公取協)も公正競争規約の「景品類になる可能性がある」と見る。ただ、規制するかどうかについては、MRの活動を過度に狭めないためにも慎重な姿勢だ。(RISFAX 第7542号から一部抜粋)

本記事内では、あくまでMRは医薬情報担当者であり、本来業務の医薬品の適正使用に関する情報提供活動がおろそかになってはならない旨が記載されていた。

これに対しては、私も同感です。あくまで、医療経営(制度や国策など含む)の知識は+αであり、自社品関連の勉強が疎かになってしまっては本末転倒です。

今後、医療経営士の資格取得を目指すMRの皆さん、すでに取得済みのMRの皆さんもぜひ+αで医療への貢献を目指していただきたいです。

これから医療経営士3級を目指す方に!

簡単ですが、私の受験経験、勉強経験を元に医療経営士3級試験の学習ポイントを別記事でまとめています。

合格までの近道の後押しになれれば幸いです。

医療経営士3級に向けた勉強法のすゝめ環境変化の著しい医療情勢を背景に、近年注目されている資格が医療経営士です。 2017年頃から医療関係者を中心に受験者が急激に増加し、直...