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医療経営士の資格取得は本当にメリットはあるのか?

医療業界は、他業種に比べて大きな違いがあります。

それは、「国(日本)」が報酬を担保しているということ。自動車業界を例すると、トヨタは自動車を買う人(購入者)が居て初めて利益が生まれてきます。

医療においては、誰しもが必ず病気を患う可能性があり、医療機関(病院・クリニック・診療所など)を受診することで「自己負担(患者)」に加えて「国」から報酬が支払われます。

つまり、医療業界においては、国からの報酬「診療報酬」に利益が担保されている、というメリットがあります。しかし、その反面、国の「診療報酬」による担保に依存しているとも受け取ることができるのも医療業界です。

そんな中、注目を浴びているのが「医療経営士」という人材です。

医療経営を担える人材はだれか?

昨今の医療情勢において、様々な懸念事項が国から発信されています。

  • 医療費圧迫
  • 高齢化社会
  • 人口減少

これらから導かれる共通事項は、医療の在り方を見直す必要があるということです。

現実問題、医療費圧迫に対しては「後発医薬品」の推進。高齢化社会に対しては「地域包括ケア」の実施。人口減少に対しては前述の取組みに加え、増税や働き方改革をはじめとした労働環境へのメスが挙げられます。

このように、環境変化に伴い医療業界は急激な変化に見舞われている現状があります。

そのような中、医療を提供する医師であっても、慈善事業ではないため病院やクリニックを存続させる必要があります。

近年、医療業界においても国の施策に応じた「経営」という視点で患者さんの診療を実施していく必要があるということです。

しかし、医師は「医療のエキスパート」ではあるが、「経営のエキスパート」ではない事のほうが多いと思います。そんな中、登場してきたのが医療経営を外部から支援する有資格者です。

現在、医療経営を支援する知識やスキルを有した人材は大きく分けて2つの有資格者があります。

  1. 医療経営士
  2. 医業経営コンサルタント

この2つのうち、医療経営士が選ばれるのはなぜなのでしょうか?

医療経営士が注目される理由・・・

「医療経営士」と「医業経営コンサルタント」の2つの似たような資格がある中、昨今医療経営士の資格が注目を浴びる理由として、手軽さが挙げられます。

医療経営士 医業経営コンサルタント
認定団体 日本医療経営実践協会 日本医業経営コンサルタント協会
受験項目 筆記、口頭面接(1級のみ) 筆記、論文
受験費用 3級:9,100円
2級:15,400円
1級:50,000円
1次試験:10,000円
2次試験:15,000円
登録料 10,000円 80,000円
会費(年間) 10,000円 120,000円
諸費用 公式テキスト代:21,600円~ 指定講座受講料:50,000円
継続教育受講料:無料~3,000円
登録更新料:5,000円

上述の通り、資格としての中身については本記事では触れませんが、表面的な資格取得にかかる経費という側面で検討してみると、

  • 医療経営士の取得には、約5万円程度(3級)、維持には1万円が必要
  • 医業経営コンサルタントの取得には、約27万円程度、維持には約12万円程度が必要

費用面で多額の差が生じることが分かります。初年度だけでも30万円以上。資格を維持する上では、毎年10万円程度の差が生まれてきます。

つまり、医療経営についてあまり精通していない方にとっては、医療経営関連の一連の知識習得を行う上では、「医療経営士」の資格取得が最も近道で「手軽」な手段だと考えられます。

医療経営士の資格取得のメリットは?

そもそも医療経営士の資格は、一般社団法人 日本医療経営実践協会が認定する民間資格となります。

医療機関をマネジメントする上で必要な医療および経営に関する知識と、経営課題を解決する能力を有し、実践的な経営能力を備えた人材です。

長らく“経営不在”と指摘されてきた医療界において、「医療経営士」は、これからの医療現場を担う重要な人材と位置づけられます。

(「一般社団法人 日本医療経営実践協会HP」より)

メリット
  • 医療(経営)に関する金銭の流れが把握できる!
  • 医療経営情報に敏感になる!
  • 医師や医療従事者(経営層)との話題が豊富になる!
  • 経営者(院長・事務長など)との信頼構築が可能になる!
  • キャリアアップの武器になる!
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本資格取得を目指される属性として、大きく「医療機関勤務者」「医療業界関連企業勤務者」の2つに分けて考えてみましょう。

医療機関勤務者:医師、事務長、総務課職員など

医療機関勤務者にとっては、まず業務における視野が広がるメリットが挙げられます。

まず、医療従事者においては目の前の患者さんの健康に対して寄与することが第一となることは言うまでもありません。そこへ、医療経営という視点を付加することで問題視されている医療現場の働き方改革などへも一役買うことができるかもしれません。

ただ、近々の課題としては2年おきの「診療報酬改定」などへの対応を含めた医療制度や国策への理解促進が最大のメリットだと考えられます。

病院経営の中枢で業務をされている、事務方として日々の業務をこなしている人にとっても知っていて損する情報ではないと考えます。

分業という考え方から、医師=患者さんの診療、事務長など経営人材=経営といった形で役割を分担させ、得意分野を活かすことで医療業界を取り巻く逆境を乗り越えられると思います。

医療業界関連企業勤務者:MR、MS、税理士、金融機関勤務者など

医療経営士の資格が一躍有名になった理由の一つとして、医療業界関連の製薬会社(MR)、医薬品卸(MR)、取引金融機関社員の取得が急増したことが挙げられます。

実際、武田薬品、ノバルディス、アルフレッサHDなどの医療業界関連企業の資格取得推奨の動きがここ数年高まってきています。

製薬各社は医療ニーズの開拓や医療経営に精通する専門職を増やす。武田薬品工業は2017年内にチームリーダー職の「医療経営士」の資格取得率を、16年11月比約2倍の100%弱とする。医療機関のニーズを調査する「コーディネーター」(仮称)も17年度中に現在比2倍程度の約20人に増やす。エーザイや中外製薬も同様の専門職を増員する。地域包括ケアシステムの普及といった医療形態の変化に対応する。

医療経営士は、日本医療経営実践協会が認定する医療と経営の知識を備える人材。武田薬品は医療経営士を増やして、医療の効率化を幅広い視点で考えられる社内環境をつくる。

コーディネーターは全国で10人弱を置き、各地の医療ニーズの調査などを進めている。17年度中に増員し、地方自治体やIT企業との協業を模索する。
(日刊工業新聞電子版 2017年3月20日)

昨今、製薬会社(MR)や医薬品卸(MS)を中心とした医師等への情報提供活動において、医療機関の訪問規制や情報提供の在り方に変化が生じております。

一つの大きな流れとしては、AIをはじめとするITの普及です。ある一定レベルの情報であれば、わざわざ面談の時間を割かずともPC上で完結するケースも多く考えられます。

そのような中、MRやMSの存在価値を高める上でも、医薬品情報のほかに診療報酬や医療政策など複数領域における豊富な知識があれば、医師やその他医療関係者へ面談する価値のある人材(MR・MS)と思われてきます。

さらに、資格取得に伴う周辺知識を活用することで、医療関係者との関係性向上、強いては業績UPにつながり、昇給・昇格などのキャリアアップにつながる可能性もあります。

また、ご存知の通り医療行政は定期的な法律改正などを伴うため、日々の知識アップデートが欠かせない領域です。

医療経営士の資格を取得することで、認定協会(日本医療経営実践協会)から定期的な情報誌やニュースが配信されるため、最新情報に精通することも可能となります。

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取得によるデメリットはないのか?

全ての資格取得に共通することかもしれません・・・。

デメリット
  • 資格取得は、あくまで知識。知識=成果ではない
  • ラーニングコストが必要

世の中の資格と名の付くものに共通するデメリットですが、知識は活用してこそ価値を生むということです。

いくら診療報酬や医療経営に関する深い知識を有していても、それによって病院経営が大幅に改善した、クリニックの利益が向上したなど、価値を生まなければ「宝の持ち腐れ」になってしまいます。

必ず資格取得を目指す方においては、「なんとなく受験する」「会社からの命令だから」などの受け身の姿勢ではなく、学習する知識をどのように活用するかなど前向きな姿勢で取り組んでいただきたいです。

また、ラーニングコストの側面では、前述したとおりです。

受験費用を始め、学習テキスト代、登録料、年会費など資格取得に加え、資格維持においても費用が掛かることを忘れてはいけません。

ただ、医療経営に関する知識のアップデートを実施する上では、最もコストパフォーマンスが高いのは「医療経営士」であることは間違いありません。

まとめ

日本国民全体に関わる医療経営という課題解決の一翼をになる存在になれるのが、「医療経営士」です。

しかし、資格取得がゴールではなく、資格取得のために学習した知識を各業務で活かすことがゴールになります。

少しでも、医療の未来が明るいものになるような医療経営士が増えていけばいいなと思います。

そのためにも、医療経営士資格試験にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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