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[テキスト6]日本の医療関連サービス
本記事は、「医療経営士3級」資格試験の公式テキストの1項目である「日本の医療関連サービス」のポイントをまとめていきます。
- ポイントは概略であって、詳細はテキストorなっとくQ&Aなどで確認してください。
- 直近の出題傾向も加味して、ポイント整理をしております。
- 法改正、制度改正など一部最新情報でない部分は、あらかじめご了承ください。
第1章 巨大化する医療関連産業
病院を取り巻く環境変化
1948年の医療法制定を皮切りに、
- 医療提供体制の拡充
- 経済成長 + 社会発展 + 医療提供体制の整備
- 医療費抑制の必要性
また、1985年に地域医療計画による、病床規制が設けられた。さらに、2000年を境に機能分化政策によって、一般病院の平均在院日数は大きく減少している。
戦略実行のための院内体制
外部委託は、病院経営状況の打開策との1つとして有効な施策となる。
外部委託は、規模の経済性(※経験曲線効果)が発揮できるため、低コストで一定の質を備えたサービスを受けられるメリットが生じる。
- 検体検査
- 滅菌消毒
- 患者給食
- 患者搬送
- 医療機器の保守点検
- 医療用ガス供給設備の保守点検
- 寝具類洗濯
- 院内清掃
医療関連サービスマークの対象業務
医療関連サービス振興会は、一定基準を満たすサービス認定を行っており、認定された証として「医療関連サービスマーク」を発行する。
認定対象業務は、上記の法的規制のある8業務すべてが対象であり、医療機器の保守点検業務が(在宅酸素療法における酸素供給装置の保守点検、医療機器の保守点検)の2つに分類され、滅菌消毒業務が(院内、院外)の2つに分類されるため、計10業種を対象としている。
第2章 さまざまな医療関連産業の動向と展望
製薬会社
〇臨床試験
医薬品の開発では、第Ⅰ相から第Ⅲ相の臨床試験(治験)を実施する。
- 第Ⅰ相:少数の健康成人を対象に実施
- 第Ⅱ相:少数の患者を対象に実施
- 第Ⅲ相:多数の患者を対象に実施
なお、治験の実施は医療機関にとって、入院・外来以外での医業収益を得ることにもつながる。
略語チェック
- IRB:治験審査委員会
- CRC:治験医師の手助け、患者への対応など治験業務全般のサポート役
- SMO:治験施設支援機関 ※治験事務局の代行、CRC派遣も実施可能
〇後発医薬品(ジェネリック医薬品) ※近年注目の話題であり、要チェックです!
後発医薬品とは、先発医薬品と同一の有効成分を含み、効能・効果や用法・用量が原則的に同一で、先発医薬品と同等の臨床効果が得られる医薬品である。
国の方針では、「202080」施策として、2020年に後発医薬品のシェアを80%目指しています。
後発医薬品と先発医薬品
後発医薬品は、先発医薬品と全く同じではない点に留意が必要です。特に、有効成分は同じであるが、効能・効果や用法・用量は異なる場合もあります。例えば、先発医薬品の適応追加などによる特許期間が残っている場合などは、後発医薬品には効能・効果として添付文書には記載されません。
医薬品卸とSPD
〇SPD(Supply Processing and Distribution):「病院における物品・物流管理」
- 1980年代:「設備」を中心とした時代
- 1990年代:「購買」のアウトソーシング
- 2000年代:「物流」を担うパートナー
SPDのアウトソーシングを検討するポイントは「支払方法」「委託目的」である。
◇支払方法
- 業務委託方式:SPD事業者に対して業務の対価として委託料金を支払う方法
- 売買差益還元方式:SPD事業者から物品を購入し、差益(マージン)がSPD事業者の利益となる方法
◇委託目的
- 医療材料費の削減
- 物品管理業務の省力化
- 在庫費用の適正化
- 使用データの管理
- 院内スペースの活用
共同購入
共同購入とは、複数の医療機関がまとまって製品を購入することにより、購入数量の拡大を図り、卸売業者及びメーカーから最適価格にて製品(医薬品・医療機器など)を購入する方法である。
共同購入のポイントは、①複数の同種同効製品を1つに絞り込む②参加する全ての医療機関にメリットが出る③必ず使用することが重要となる。
※一般的に医療機関は、卸売業者を通して医薬品等を購入するが、一部のグループ病院ではメーカーから直接購入する動きも出てきている。(後発医薬品など)
医薬品 | 診療材料 | 医療機器 | 事務用品 |
国立病院機構など | ほとんど進んで いない |
国立病院機構、日本赤十字社など | 一部で取り組みあり |
医療機器
- RI検査・SPECT:ほとんどが一般病院(20人以上の入院施設あり)へ設置 ※200床以上が80%程度
- MRI・PET:一般診療所への設置もあり ※人間ドック特化診療所の増加などが要因
- スパイラルCT・MRI:約50%は、病床数199以下の小規模医療機関への普及が進む
- 日本は、人口100万人当たりのCT及びMRIの設置数が欧米よりも高い
国際分類 | 薬事法分類 | |
クラスⅠ | Xフィルム・歯科技工用品 | 一般医療機器 |
クラスⅡ | MRI・超音波診断装置 | 管理医療機器 |
クラスⅢ | 人口骨・人工呼吸器 | 高度管理医療機器 |
クラスⅣ | ペースメーカー・ステント |
〇医療機器購入費の削減
- 医療機器の適正配置
- 導入による経費削減の可能性
- 医療の質の向上
- 収益性の向上
上記4点を加味し、医療機器の確保には購入・レンタル・リースという選択肢から選ぶ。
透析関連ビジネス
- 透析患者は、約33万人(2016年時点)。透析患者の増加傾向は、2005年ごろから鈍化している。
- 透析は、1回4時間程度/週3回を実施。 ※透析は、長時間の方が効果が高まる・・・
- 診療報酬上、月に14回までしか算定できない。
- 付加サービス:食事・送迎・個室化・アメニティなどにより差別化 ※原則、施設負担
- 市場規模は拡大、収益(診療報酬点数)は下落
〇人工透析の種類
血液透析(HD) | 腹膜透析(PD) |
拡散と限外ろ過 | 拡散と浸透圧 |
手術
- 収益性の観点から非常に重要 ※特に、DPC対象病院はインパクト大
- 物流システム・情報システム・キット製品の活用により、効率化・安全管理・収益改善を達成する。
手術室の効率的運用
- 手術件数の増加
- 1件当たりの手術時間の短縮
- 物品管理時間の削減
- 清掃業務の軽減
- 滅菌機器準備の簡素化
医療事務
〇医療クラーク制度
2008年4月より、診療報酬において医療クラークが公的保険制度において認められた。医療クラーク制度とは、医師が本来の業務に専念できるよう、事務職員が医師の事務業務を補助する制度である。今後、医師と患者のパイプ役としての役割も期待される。 ※医療事務は、民間資格。
金融
- 直接金融(投資家などから資金調達)
- 間接金融(金融機関を介して資金調達)
従来は、間接金融に限定されていたが、近年医療機関債や社会医療法人債といった直接金融の道が開かれつつある。しかし、ハードルが高く、間接金融による資金調達がほとんどを占める。
〇福祉医療機構
国の施策と連動して福祉医療の基盤整備を推進する役割を担う組織
- メリット:金利が低い、長期の融資期間設定が可能
- 直接貸付と代理貸付(一般的)の2つの融資方法がある
診療報酬債権は、貸し倒れ(回収不能)リスクの極めて低い債権であり、良質な担保として評価される。
第3章 医療関連産業とのかかわり方
取引業者の選定基準
〇取引業者選定の5つの要素
経済性 × 安定性 × 信頼性 × 付加価値性 × 誠実性
テキスト6 ポイント講座
簡単ではありますが、医療経営士3級のテキスト6「日本の医療関連サービス」の学習するポイントを解説していきました。
随時、その他テキストも掲載していきますので参考にしていただけると幸いです。
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