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FP2級の5種類ある実技試験!どれを選ぶべきか?

FP技能士2級試験は、筆記と実技の2部制になっています。

特に、実技試験は試験内容として扱う分野が異なるため、どれを受ければいいのか?など悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

今回は、2級試験における実技試験科目のそれぞれの違いと選ぶ際のポイントを紹介していきます。

  1. 日常業務や将来的な業務を加味して試験科目を選択
  2. 特にこだわりがなければ、個人資産・資産設計がオススメ!

FP試験は受験機関を2つから選択する!

実技試験の内容に入る前に、受験申し込み方法について確認しておきます。

FP技能士検定は、日本FP協会ときんざい(金財)の2つの試験機関によって実施されています。そして、この2つの試験機関によっても試験内容が異なる点を理解した上で、選択する必要があります。

つまり、実技試験の受験科目によって試験機関が異なります。

実技試験以外の試験機関の違いについては、【比較】FP試験におけるFP協会ときんざいどっちを選ぶ?でまとめています。

では、具体的に実技試験の内容とそれぞれの違いや選択のポイントを見ていきましょう。

どちらの試験機関で受験した場合でも、合格した際のFP技能士資格は全く同じになります。あくまで試験機関の違いは、資格試験における受験科目・内容が異なると認識しておけばよいでしょう。

FP2級の実技試験の種類

FP技能士2級の実技試験は、5つの種類があります。

試験科目(実技) 受験者割合 試験機関
資産設計提案業務 37.5% 日本FP協会
個人資産相談業務 41.7% きんざい(金財)
生保顧客資産相談業務 3.6%
中小事業主資産相談業務 17.0%
損保顧客資産相談業務 0.3%

※受験者割合は、2018年1・5・9月の合計受験者数より算出

受験者割合の推移

過去数年の受験者割合の変化を見てみると、FP協会の「資産設計提案業務」の受験割合が年々増加傾向にあります。

生保顧客や中小事業主は、毎年一定数の受験者が申し込みしていますが、上記2科目に比べると比率は低くなっています。

各実技試験の合格率は?

5つある実技試験においては、受験者のばらつきや試験の難易度によって合格率に違いがあるのでしょうか?

2018年(1・5・9月)2級FP技能検定試験結果

受験者数 合格者数 合格率
資産設計提案業務 48,005 25,613 53.2%
個人資産相談業務 53,414 13,681 25.4%
中小事業主資産相談業務 4,596 2,077 44.8%
生保顧客資産相談業務 21,745 9,735 44.4%
損保顧客資産相談業務 390 213 54.6%

※受験者数は、2018年1・5・9月の合計受験者数より算出
※参考:日本FP協会HP・金融財政事情研究会HP

数字で読み解くポイント
  • 人気は、個人資産(きんざい)と資産設計(FP協会)
  • 個人資産(きんざい)は、合格率が低下傾向(20%台)
  • 生保・中小事業主・損保は、団体受験者が多くを占める
  • 損保は1年に1回(9月)のみ、受験が可能

「個人資産」の合格率が低い理由は?
きんざいの実技試験の中で、合格率20%台と低い「個人資産」。その理由としては、団体受験による強制的に受験をされられている受験者がいること、4つあるきんざいの試験の中で唯一”個人”からの申し込みが多い点が関係していると考えられます。

他の試験科目に比べ、難問が多いというわけではなさそうです。FP協会の「資産設計」は、比較的学習意欲の高い個人受験者が多いこと、同様にきんざいの個人資産以外の科目も同様の傾向があるため、合格率が高いとも言われています。

ただ、単純に合格率推移からみると個人的には「資産設計提案業務」(FP協会)が安全と考えます。

5種類の実技試験の違いはココ!

出題分野の違い!

FP試験の出題範囲である6分野のうち、試験科目によって出題分野が異なります。

○:出題される  ×:出題されない

〈きんざい〉
個人資産
中小事業主
〈きんざい〉
生保顧客
損保顧客
〈FP協会〉
資産設計
ライフプランニングと資金計画
リスク管理 ×
金融資産運用 ×
タックスプランニング
不動産 ×
相続・事業承継

実技試験における、学習範囲を減らしたい方、業務であまり必要ない方、苦手な分野がある方などは、出題範囲の狭いきんざいの実技試験を選択するのもよいでしょう。

出題形式の違い

日本FP協会ときんざいどちらで受験した場合でも、記述式の実技試験には変わりはありませんが出題形式に大きな違いがあります。

  • 日本FP協会(資産設計):全40問の一問一答形式、100点満点中60点で合格
  • きんざい(その他4科目):全5題の事例形式、50点満点中30点で合格

相対的に資産設計(日本FP協会)の方が、40問全てが個別解答形式になっているため、一つのミスによるヤケドは少なくなります。

逆に、きんざいの場合、事例形式であり、1つをミスすると芋づる式に解答を間違ってしまうリスクが出てきます。

【過去問】日本FP協会HP

【過去問】金融財政事情研究会HP

人気科目:資産設計(FP協会)と個人資産(きんざい)の特徴や違いは?

最も受験者数が多く(2科目で約8割)、一般受験の方のほとんどはこのいずれかを受験する方が多いでしょう。

  • FPの学習範囲である、税金、保険、年金、資産運用、不動産、相続など日常生活に直結する内容が出題される。
  • 自己研鑽、知識を家庭内で活用するなどの目的の方には最も身近に感じられる科目です。
  • 受験者の約8割が、資産設計or個人資産を受験している。
  • 市販テキスト、参考書、問題集が充実している。

この2つのどちらを受験が良いかは、【関連記事】FP試験におけるFP協会ときんざいどっちを選ぶ?でまとめている筆記試験の特徴も含めて選択すると良いでしょう。

(きんざい)生保顧客と損保顧客の特徴や違いは?

保険分野に偏った知識(出題の約4割を占める)を測定する実技試験が特徴です。

  • 保険会社を含む、保険関連業務を扱う方は、試験勉強と業務知識が直結するためオススメです。
  • リスク管理(保険分野)の出題が、約4割程度と他の実技試験に比べ高い。
  • 生保顧客=生命保険、医療保険分野のみ、損害顧客=火災・地震保険、自動車保険などの損害保険のみが出題される ※リスク管理分野において
  • 保険分野特有の計算問題の出題数も多いため、会計知識などがあった方がよい。
  • 損保顧客の試験は、毎年9月のみ開催される。
  • 市販テキスト、参考書、問題集が少ない。

基本的には、実務者や保険を扱う仕事を目指す方、業務へFP知識をすぐに応用したい方向けの科目と考えます。合格を第一に考えている方は、あえてこの科目を選択する必要はないでしょう。

(きんざい)中小事業主の特徴は?

  • 中小企業の経営者、資産家を想定した実技試験内容です。(いわゆる、富裕層)
  • 企業年金、法人税、非上場株価など、他の実技試験では触れられない問題の出題傾向があります。
  • 一般的にはあまり活用できない知識が求められる。
  • FP技能士1級試験の学科試験と内容が似ているため、1級試験対策として兼ねることができる。

全受験者の約4%程度の受験者数であることからも、積極的に受験すべき実技試験ではないと考えます。上記の富裕層を顧客とした業務やビジネスを行っている方、自身も起業家を目指している方、将来的にFP技能士1級を目指している方など目的・目標がはっきりしている方が受験すべき科目でしょう。

実技試験は、資産設計 or 個人資産がオススメ!

簡単に5つの実技試験の特徴をまとめましたが、結局どの実技試験を選択すべきなのか?

団体受験(企業から科目指定で申込する方)以外で言えば、資産設計(FP協会)もしくは個人資産(きんざい)を選ぶことをオススメします!

さらに言えば、学科試験の傾向や合格率などを加味すると資産設計(FP協会)を個人的には強くオススメします!日本FP協会の試験は、きんざいに比べると難問が少なく浅く広く学習ができていれば合格点を取るのは誰でも可能です。

YOUYOU
YOUYOU
私自身は、個人資産(きんざい)でFP2級試験を受験しました。当時は、何も考えず日常生活に活用できそうかな、という軽い気持ちで実技試験を決めて臨みました。結果として、選択して間違いではなかったと思います。
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試験対策テキスト/問題集は、要チェック!

独学する方、通信教育など資格スクールを活用する方々は、必ず購入するテキストや問題集が受験する実技試験に対応しているかどうかを確認することを忘れずに!

資格スクールの教材などを活用するのであれば、対応科目を受験するのが合理的でしょう。

合格の可能性やテキスト代などを無駄にしないためにも、実技対応科目の確認は忘れずに行いましょう!

まとめ

FP試験において、実技試験の選択は勉強に取り掛かる以前に頭を悩ませるものです。

あくまで資格を取得するための試験の1科目です。

  • 自分自身の業務や将来目指す仕事が保険関連であれば、生保顧客や損害顧客を!
  • 資産家などの富裕層を対象にコンサルティングを目指している方は、中小事業主を!
  • 上記以外や、特にこだわりがない方は、個人資産や資産設計を!

これくらい割り切って、選択してみても良いかもしれません。本当に大事なのは、実技試験の選択ではなく試験に合格するための学習ですから。

ぜひ、FP2級合格に向けて、実技試験の選択の際の参考になれば幸いです。