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【テキスト8】医療経営士3級資格試験 重要ポイント講座

[テキスト8]生命倫理/医療倫理

本記事は、「医療経営士3級」資格試験の公式テキストの1項目である「生命倫理/医療倫理」のポイントをまとめていきます。

★本ページの読み方★
  • ポイントは概略であって、詳細はテキストorなっとくQ&Aなどで確認してください。
  • 直近の出題傾向も加味して、ポイント整理をしております。
  • 法改正、制度改正など一部最新情報でない部分は、あらかじめご了承ください。

第1章 総論 生命倫理/医療倫理の基本的な考え方

患者の権利

  1. 生命の尊厳と最善・平等な医療を受ける権利
  2. 個人の尊厳(個人として尊重される権利)
  3. (情報を)知る権利と(医療内容についての)自己決定権
  4. 被拘禁者としての法的手続きを求める権利
  5. 臨床研究における被験者の権利
  6. 医療費会社として被害の回復・救済を求める権利

人間の尊厳

「尊厳」は、『人格に備わる、何物にも優先し、他のものでとって代わることのできない絶対的な価値である』と言われる。法的な意味での「人権」(自由権・平等権・生存権など)によって保障されている。

SOL(Sanctity of Life)
生命の尊厳・生命の神聖性
「生きていること(生命)」それ自体に価値を認める。
QOL(Quality of Life)
生命の質
生命・生活・人生の「質的」内容を指している。 ※ADL(Activities of Daily Living):日常生活動作
SOLとQOLは互いに対立する概念として登場した。しかし、SOLとQOLは両立可能であると考えることは、臨床においては倫理的に妥当である。

倫理的ジレンマ

医療行為は、医学的根拠ならびに倫理的にも正しいことが必要である。しかし、時に医療現場において相反する場合があることを「倫理的ジレンマ」という。

倫理的判断の際には、医学的視点・法的視点そして倫理的視点のバランスがとれたものでなくてはならない。

倫理原則/徳倫理

倫理4原則
自立尊重原則
Autonomy
他人の自己決定を尊重する、あるいは他人がよい自己決定をすることができるように支援すること。インフォームドコンセント、プライバシー権などが本原則から導かれる。
善行原則
Beneficence
恩恵原則ともいう。医療者は患者の権利や利益のために「善い行い」を積極的に行うということ
無危害原則
Non-maleficence
侵害回避原則ともいう。善行原則とは表裏の関係、「少なくとも害をなすな」ということ
公正・正義原則
Justice
公平原則、平等原則ともいう。人々を公平・平等に扱うことを要求している

倫理4原則は、それぞれが対立関係に直面するケースもある。しかし、決められた優先順位はなく、それぞれのケースにふさわしい判断が必要となる。

インフォームドコンセント

インフォームドコンセントの構成要素

「説明を受け納得したうえでの同意」

  1. 情報の公開
  2. 理解
  3. 自発性
  4. 意思能力
  5. 同意

守秘義務

医師、薬剤師などは、刑法134条において秘密漏示罪として秘密漏洩を罰している。つまり、「正当な理由など」がない場合は、守秘義務を遵守しなければならない。

〇守秘義務の解除(正当な理由)

  • 虐待を疑った場合(高齢者・子供など)
  • 人工妊娠中絶をした場合
  • 特定の感染症患者がいた場合 ※結核など
  • 医療チーム内での患者情報の共有
  • 紹介状への患者情報の記載

「医療者-患者」関係

パターナリズムモデル 相互参加型モデル 情報提供型モデル
・善行原則>自立尊重原則
・医師によるトップダウンの治療方針
・双方が意思決定に関与
・最終的には、患者の意思決定が優先される
・医師・患者間のコミュニケーションが欠落
・患者へ意思決定を丸投げ

これら、「医師-患者」関係は、各々の臨床状況に応じて変化し、固定的でない。

つまり、パターナリズムモデルー相互参加型モデルー情報提供型モデルの間を行ったり来たりする(振り子モデル)

医療経営士と医療者との関係

  • 医療関係者の一員であることを自覚する
  • 患者のみならず医療者との信頼関係を築く必要がある
  • 利益追求ではなく、患者の最善利益を求めた行動
  • 医療経営マネジメントは、医療者の医療提供環境整備 ⇒ 患者満足度向上 ⇒ 医療機関の利益向上というタイムラインで実施されるべきである。

第2章 各論 生命倫理/医療倫理の具体的テーマとその課題・展望

生殖補助医療

他の医療との相違点
  1. 対象者が、カップル(ペア)ならびに胎児
  2. 対象者が、健康な人
  3. 原因への根本治療ではなく、代替策による治療

代表例として、不妊治療がある。①通常、不妊の原因を探索するため男女両者が治療の対象となる。さらに、②男性に原因があった場合、女性(健康人)へ何らかの処置をし体外受精などを施す必要が生じる。そして、③男性の原因に対しては、特に加療がなく、目的とする妊娠を達成するということである。

人工妊娠中絶

  • 妊娠22週未満までを中絶可能期間(母体保護法)
  • 妊娠12週目以降の中絶は、医療機関から「死産届」の提出が必要
  • 胎児に障害があることが中絶許可の理由にはならない ※実情としての中絶はある
〇出生前検査(NIPT)
  • 妊婦の採血だけで、ダウン症等の染色体異常のスクリーニングが可能

本来は、障害があっても暮らしやすい社会を実現し、社会に根付く障害者に対する偏見や差別を改善する必要がある。

遺伝子検査・医療

遺伝子診断の種類
  1. 病気の確定診断
  2. 発症前診断
  3. 出生前診断・着床前診断
  4. 保因者診断
  5. リスク診断
  6. 親子鑑定

アンジェリーナジョリーの乳房摘出などは、乳がんリスクが遺伝子診断から判明したからという点は有名な話題ですね。

遺伝子情報の持つ特性
予知性 将来生じる病気や障害をあらかじめ知ることができる。
共有性 生物学的につながっている家計内の血縁者で共有される。
不変性 一生にわたって変わることのないその人固有のものである。
危害性 差別、偏見により精神的、社会的に害がもたらされる可能性がある

最先端医療

クローン技術 再生医療
受精卵・体細胞 ES細胞・iPS細胞

両者ともに、倫理的問題点、医学的問題点を多く含んでおり、今後の課題ではある。

認知症ケアの倫理

高齢化の進展とともに、認知症人口の増加懸念

認知症ケアの倫理<3つの柱>
  1. 実践に基づいた倫理
  2. 認知症に伴う偏見・蔑視を取り除く
  3. 学際的・多職種共同的アプローチ

〇行動コントロールの倫理

  1. 身体拘束による弊害
  2. 最小限の拘束
  3. 拘束に係る法律
  4. 尊厳と倫理原則

※②最小限の拘束として、「切迫性」「非代替性」「一時性」が判断された場合やむを得ないと判断される。

〇高齢者虐待
虐待の種類
  1. 身体的虐待:拘束、暴力、薬物乱用など
  2. 心理的虐待:言動(悪口、無視など)による心理的苦痛
  3. 経済的虐待:財産や金銭の無断使用・管理など
  4. 性的虐待
  5. ネグレクト:介護や日常の世話を放棄(衣食住の放棄)

パーソンセンタードケア

本人のできないことにではなく、できることに焦点を当て、認知症の人を「1人の生活者」として尊重する。

  1. 「アルツハイマー病の人々の人格は、失われるのではなく次第に隠されていく」と認識する
  2. 全ての場面で、アルツハイマー病の人々の人格を認める
  3. ケアと環境を、個人に合わせたものにする
  4. 共有された意思決定を実践する
  5. 周囲(社会)と関係性(交流)を重視する

終末期医療

「看取り」とは、「無益な延命治療をしないで、自然の経過で死を見守るケアをすること」である。

看取りの条件
  1. 医学的に末期であること(治療の無益性が明確)
  2. 積極的治療を望まない本人意思があること
  3. 家族も同意していること
  4. 公正性が確保されていること

「緩和ケア」とは、「生命を脅かす疾患に関連した諸問題に直面した、患者及び家族のQOLを改善するためのアプローチである」と定義。(WHO)

安楽死

  1. 積極的安楽死:“患者の命”を終わらせる目的で「何かをする」
  2. 消極的安楽死:“患者の命”を終わらせる目的で「何かをしない」
  3. 患者意思によって延命治療をしないこと

②と③は同じように見えるが、「行為者の意図が異なる」点で相違がある。③は、患者意思(延命治療拒否)の意思を尊重し、患者が最後まで尊厳をもって生きるためにあえて延命治療を行わないという意図・目的である。

成年後見人制度

テキスト8 ポイント講座

簡単ではありますが、医療経営士3級のテキスト8「生命倫理/医療倫理」の学習するポイントを解説していきました。

随時、その他テキストも掲載していきますので参考にしていただけると幸いです。

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