資産運用

「NISA」や「つみたてNISA」始める前に押さえておくべき注意点とポイント

これから投資を始めようとする人にとって、まず頭に浮かぶのは「NISA」という言葉ではないでしょうか?

そして、投資による利益が非課税という大きなメリットがあるため、多くの人が始めようか検討しているのではないでしょうか?

でも、メリットばかりに目を向けて、大事なポイントを見過ごしていませんか。

今回は、20年間と長期的な資産形成を目的に利用する「つみたてNISA」の注意点など重要ポイントを確認していきましょう。

知らなかったでは、時すでに遅しにならないように事前チェックです!

NISA口座における共通の注意点

★NISA/つみたてNISAの両方に共通する注意点

①NISA口座は1人1口座のみ

NISA口座は、1人1口座しか開設できません。また、金融機関の変更は1年単位でしか行うことができません。

最初に開設するNISA口座の種類や金融機関については、しっかりと情報収集した上で決定しましょう。

金融機関を変更すると、ロールオーバーができなくなるので要注意です。

②対象は新規購入した商品のみ

NISAの対象となるのは、NISA口座を通じて新規購入した金融商品のみとなります。

例えば、すでに一般口座や特定口座で保有している株式や投資信託などが利益を生んでいた場合、NISA口座へ移管して非課税にしたいと思うところです。

しかし、NISA口座以外で購入、保有している金融商品は移管することができません。

③非課税枠の繰越、再利用ができない

③‐₁ 繰越ができない

非課税枠(NISA 年間120万円/つみたてNISA 年間40万円)がそれぞれ決められていますが、上限まで使いきれず余った非課税枠を翌年以降に繰越ことはできません。

例えば「つみたてNISA」の場合で、2018年の投資額が20万円だったため、余った20万円分を繰越して2019年に60万円を投資するということは残念ながらできません。

非課税枠ギリギリまで使用している、いないに関わらず年間120万円(もしくは40万円)という非課税枠は固定になります。

③‐₂ 再利用ができない

非課税枠の捉え方として、資産額の枠ではなく、購入の枠で考える必要があります。

つまり、同じ年に金融商品を購入後売却した場合でも、非課税枠を再利用することができません。売却の有無にかかわらず、120万円分(つみたてNISAの場合、40万円分)の購入枠と考えましょう。

例えば、「NISA」の場合で、2018年の投資額が60万円の時に運用利益が生じたため、2018年の途中ですべて売却しました。しかし、金融商品を売却したからといって、その年の非課税枠が元に戻るわけではなく、残り60万円のままということです。

つみたてNISAの場合は、中長期的に資産形成する目的のためあまり気になる部分ではありませんが、株式などで比較的アクティブに運用する場合はすぐに非課税枠を使い切ってしまう可能性があります。

④他口座との損益通算ができない

NISA口座での損失は、税務上はゼロとされてしまうため、他口座(特定口座や一般口座など)で保有する金融商品の売買益や配当金との損益通算はできません。

つまり、NISA口座でマイナス(損失)があった場合でも、繰越控除もできません。

なので、NISA口座ではできる限り損失を出さないような運用が適しています。

損益通算とは?

一定期間内の利益と損失を相殺することです。損失がある場合は、損益通算することで、最終的に負担する税金を減らすことができます。

A商品:購入時10万円 ⇒ 売却時15万円 <利益5万円

B商品:購入時10万円 ⇒ 売却時7万円 <損失3万円

損益通算すると、5万円-3万円=2万円が一定期間における利益とみなされ、税金が課せられます。

つみたてNISAにおける注意点

★つみたてNISA固有の注意点

主に、一般NISAと異なる部分になるため、NISAとつみたてNISAどちらにすべきか悩んでいる方は要チェックです。

➄スポット購入ができない

「つみたてNISA」の最大の特徴は、購入方法が毎月定額を積立する積立方式に限定されていることです。一方、NISAの場合は、積立方式とスポット購入の2つから選択できます。

自分の好きなタイミングで買うのが、スポット購入

積立方式は、「ドル・コスト平均法」の手法となるため、長期的な資産形成には適した投資方法にはなります。また、購入するタイミングがわからない投資初心者や頻繁に値動きなどを確認できない人にとってはメリットになるポイントです。

ただし、投資経験者の人や積極的な売買などの投資をしたいと考える人にとっては、スポット購入ができないのはデメリットとなるでしょう。

⑥選択できる商品が限定的

一般NISAの場合は、投資信託、ETFに加えて、株式、REITなどの商品を幅広く取り扱っています。しかし、つみたてNISAの場合は、投資信託とETFに限定されています。

投資と言えば、株主優待という印象を持っている方もいるかもしれませんが、つみたてNISAでは株式を購入することができな多いため株主優待や株主配当など投資による付加メリットを受けることができません。

金融商品が限定的であり、自由に選べないという点が一般NISAとつみたてNISAでは注意が必要になります。

つみたてNISAの金融商品の特徴

つみたてNISAでは、投資信託・ETFを合わせた162商品(2019年3月時点)が対象となっています。この商品数に限定されている理由は、金融庁が一定の基準を定めているからです。

金融庁は、販売手数料ゼロ、信託報酬が一定水準以下、分配金が毎月でない、信託契約期間が無制限or20年以上といった厳しい条件を設定しています。

長期的な積立に適した商品設計になっていることに加えて、投資初心者の人でもえらびやすく始めやすい制度とも言えるでしょう。

⑦年間の非課税枠40万円を超える金額はダメ

つみたてNISAにおいて、年間の非課税枠は40万円となり、非課税枠をオーバーする金額設定はできません。

具体的な金額設定方法
  1. 毎月の投資額は、33,300円以下にすること
  2. 「毎月の投資額」+「増額月の投資額」の年間換算額が40万円以下になること

なお、一般NISAの場合は、年間の非課税枠は120万円となります。

【まとめ】NISAの注意点

NISA口座共通の注意点

1)NISA口座は1人1口座のみ
2)対象は新規購入した商品のみ
3)非課税枠の繰越、再利用ができない
4)他口座との損益通算ができない

つみたてNISA口座の注意点

5)スポット購入ができない
6)選択できる商品が限定的
7)年間の非課税枠は40万円を超える金額はダメ

今回は、NISAを利用するにあたって押さえておくべきポイント(注意点)を紹介しました。

NISA口座の活用は、投資する上では必ず利用すべき制度の一つです。しかし、知らずに始めてしまって違った!とならないように注意点は初めに確認しておきましょう!

また、「一般NISA」と「つみたてNISA」どちらの口座を開設した方がいいかも悩む部分かもしれません。【比較】「NISA」と「つみたてNISA」選ぶならどっち?で詳しくまとめていますので、こちらも確認してみて下さい。

特に、つみたてNISAは20年間と長期的な資産形成の手段として、投資初心者の人にとってオススメできる制度であることは間違いありません。

是非、制度の正しい知識を身につけて、少額からでも投資を始めてみませんか?