読書

『転職の思考法』は全てのビジネスパーソンが読むべき思考法だった!

会社の上司から勧められた一冊の本。

それが、転職の思考法(著者:北野唯我、ダイヤモンド社)』でした。サブタイトルには、「このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む」の文字があり、この本を上司が勧めるのか?!と正直ギモンを持ちました。

なんせ、言われた直後は下記のように思ったからです。

『転職の思考法』の本を勧める = 転職を勧める

しかし、実際に本を手に取り、読み進めていくうちにタイトルだけで本の内容を判断してはいけないとつくづく考えさせられました。

この本は、「転職希望者」ではなく、「全てのビジネスパーソン」が読むべきものだということ。さらには、就職活動を行う学生さんが読んで損はないです。

転職という未だに後ろ向きなイメージを持っている社会において、転職を前向きにとらえるとともに、自分自身のキャリアを考えるきっかけを与えてくれるのが本書の醍醐味だと思います。

本書では、「転職を成功させる思考法」と「ビジネスマンとして成功する思考法」の2つの学びを得ることができます。

ストーリー形式で「転職の思考法」全てを学べる

主な登場人物は、サラリーマンである主人公とその上司や同僚、そして主人公へ「転職の思考法」を授けるコンサルタントである。

主人公と読者である「自分自身」を重ね合わせ、あっという間に「転職の思考法」を学ぶことができる。

本書で学べる『転職の思考法』
  1. 自分の市場価値の測り方
  2. 転職すべき業界や会社の判断方法
  3. 転職を行う場合の「手段」の使い方
  4. 仕事をする上での本質的なマインド

本書を読んだ印象は、ザックリこの4つが学べると感じました。

全体を通して、書籍の題名にある「転職」に係る内容が盛り込まれていたるのはもちろんです。しかし、①と④に関しては、現時点では転職とは無縁の方(新入社員~ベテランまで)にとっても気づきを与えてくれる内容でした。

具体的な転職を成功させる判断軸を知れることに加えて、ビジネスマンとして成功を収めるための思考法が学べるのです。

副業解禁の現代において、副業を既にしている人、副業を始めたいと思っている人たちには、是非とも読んでいただきたい書籍のひとつです。

今回は、転職を考えている方は必読すべき、ということは置いておき、それ以外のビジネスパーソン向け(自分も含めて)に気づきのポイントをご紹介したい。

マーケットバリューを考えたキャリアプランニング

一生食えるかどうかは、

「上司を見て働くか、マーケットを見て働くか」で決まる

(「転職の思考法」P29より)

まず、仕事への取り組む姿勢が根底から覆された一言がコチラ。

多くのビジネスマンの方は、「上司」を見て仕事をしてしまっている一面があるのではないでしょうか?私自身もその内のひとりですが、本書を通じて「上司」のために仕事をすることはやめようと決めました。

上司の顔色をうかがいながらの仕事は、上司が変われば、会社が変われば通用しない。しかし、マーケットに求められる仕事は、上司や会社、さらには業界が変わったとしても引っ張りだこになるに違いないということ。

例)経理の仕事
  1. 上司の指示、既存の業務を淡々とこなす人
  2. ファイナンス以外にもITスキル、経営学なども補完しながら業務をこなす人

極端な例かもしれませんが、どちらのビジネスパーソンが社内外から求められる人材でしょうか?言うまでもなく、後者ですよね。

上司に評価されることは、所属する部署や会社においては必要なことだと思います。しかし、そこから一つ先のマーケットで評価されるように仕事に取り組む意識を持つ必要があるのです。

市場価値(マーケットバリュー)の測り方

マーケットバリューは、①技術資産、②人的資産、③業界の生産性の三つで決まる。

(「転職の思考法」P32より)

次に、私たちが仕事やお金を稼ぐうえで重要な考え方は、自分自身の「市場価値(マーケットバリュー)」をしっかりと理解、把握しておくことです。

本書で言うマーケットバリューとは、個人が所有する「専門性」「人脈」、所属する「業界」の三つによって左右されるということです。

そして、20代では「専門性」を強化、30代では「経験」を蓄積、40代で「人脈」を活用することが重要となる。

『専門性のないやつに、打席は回ってこない』という言葉には、共感させられます。現実的でも、専門性を疎かにしている人に、難易度の高い業務や役割、キャリアが与えられる機会は少ないはずです。

入社から3年程度は、少なくとも業務に係る「専門性」強化に最注力すべきだと思います。なぜなら、アウトプットの質は、インプットの量や質に依存し、高い業績を挙げている人に共通するのは高い専門性があるからこそだと言えるからです。

ふと考えると、①マーケット視点②マーケットバリューを高める方法として、「副業」が挙げられると思います。副業は、本業以外に収入の柱を持てることに加えて、「専門性」「人脈」を活かし、アップデートすることができます。

本業においてマーケットバリューを高める努力はもちろんのこと、世間の流れや働き方の多様性に便乗し、「副業」という選択肢もますます重要になってくると考えます。

仕事はマインドひとつで大きく変わる!

「転職は悪」は、努力を放棄したものの言い訳にすぎない

(「転職の思考法」P150より)

私自身、転職は後向きではなく、前向きな選択肢であるというイメージは持っていました。しかし、中には「現職に対する逃避」「会社への裏切り」などネガティブな印象を持っている方も少なからずいるかもしれません。

少なくとも、「キャリアアップ」「夢へのステップアップ」といった前向きな「転職」は数多く存在し、『転職は善』だというマインドチェンジをするべきだと改めて思いました。

ココでいう転職とは、「職を変える」だけではなく、『職が変わってもやっていける』という解釈も含まれるはずです。つまり、「マーケットで評価される能力」を身につけ、現時点で所属する会社へ貢献するという姿勢を誰しもが持っておくべきだということです。

マーケットで評価される市場価値を持った人材は、少なくとも現時点で所属する会社へ価値を提供できるのはもちろんのこと、他業界や他社においても価値のある人材であるため「一生食える」ビジネスパーソンだと言い換えることもできます。

「こんなマインドを持った人材が社内に溢れてくれば、自然と競争力のある企業(会社)へと成長するだろうな」と人材育成(教育)を本業とする私は感じました。

マインドが変われば『行動』が変わる!

自分に「ラベル」を貼り、コモディティから脱出せよ

(「転職の思考法」P228より)

仕事をする上で、持っておくべき軸が二つある。

二つの軸
  1. マーケットバリューの軸
  2. ラベルによる軸 

「ラベル」とは、自分だけのキャッチコピーであり、自分の強みや好きなことを表現したものである。

①マーケットバリューの軸は市場(主に、企業)から求められているかという判断軸を表し、②ラベルによる軸は自分自身が仕事に心からワクワクできるかという判断軸を指す。

対外的に求められる能力ばかりを身につけても、自分自身のモチベーションやパッションが上がらなければ長続きしないことも考えられます。逆に自身の好きなことに対しては努力や勉強が苦にならないことがほとんどでしょう。

つまり、①と②の軸で判断した際、両方が同じ方向を向いたとき、本当の意味で強いビジネスパーソンへの一歩を踏み出すことができるのではないでしょうか。

「全てのビジネスパーソン」が読むべき一冊!

『転職の思考法』というタイトルから、転職を考えている人が読むべき書籍と最初は思いました。

確かに、転職活動をする上での考え方やコツ、視点についても触れられています。しかし、現在の会社や業務に満足している人においても、現状に満足しない、将来を見据えてスキルアップや視野を広げておく必要があることを気づかせてくれます。

また、今後就職を控える学生さんにとっても、どのような企業や業界、職種がスポットを浴びてくるのか、考えるきっかけになるはずです。

自分自身の強みやワクワクすることと、社会(転職・就職市場)から求められることがベストマッチすれば、益々仕事が楽しくなること間違いなしですね。

そんな思考法を手に入れる上で、『転職の思考法』はオススメです。