読書

マイホームに向けた「お金の知識」と「心構え」とは?

「客はドリルがほしいのではない、穴がほしいのだ」

知ってる人も多いでしょう。マーケティングの世界では古くから知られる格言です。

家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本(著者:千日太郎/出版:日本実業出版社)』のラスト1ページに載せられた言葉。著者は、この格言を「家」に置き換えてこう表現していました。

ドリルは、目に見える新しい家のイメージや、家そのものです。穴は、家を買うことで私たちが手に入れたい「何か」です。(「おわりに」より)

私自身にも当てはまりますが、マイホームを持つことを目的にしていませんか?マイホームを購入して、どうなりたいのか?購入するために、何をしなければいけないのか?という本質的な問いを投げかけられました。

今回、手にとって最後の最後で一番の気づきを与えてくれた本書からの学びを記していきます。

そもそも、なぜマイホームを購入するのか?

冒頭のドリルと穴の話に関係しますが、多くの場合「マイホーム購入」と言うと、どのように資金繰りをしていくか、いかに安い住宅ローンを選択するか、どんな間取り、どこのメーカーで建てる・購入するのかなど家そのものやお金の話になりがちです。

マイホームを購入する上では、もちろん重要なことですが、そもそも「なぜマイホームを買うのか?」という問いを大事にし、しっかりと考えておく必要があります。

家族が安心して暮らせる環境づくりのため、子どもの教育のためなど家族にまつわる理由が多いのではないかと思います。この気持ちや思いをしっかりと持っておくことが、マイホーム購入における「落とし穴」にハマることを防ぐことにつながります。

落とし穴とは?
  • 不動産会社の営業マンに関する落とし穴
  • 「賃貸か持ち家か?」という落とし穴
  • 「タラレバ」という落とし穴
  • 「お得」という落とし穴

営業マンの中には、掘り出し物物件です、決断していただければ値引きするします、など甘い営業トークをしてくるケースも多々あります。

その場の甘いトークに惑わされず、そもそも「マイホームを買う理由は何だったか?」を思い出し、冷静に考えられる心構えを常に持っておくことが失敗しない(損しない)マイホーム購入につながります。

マイホームに関するお金ルール~試算が重要~

マイホーム購入に、「お金」は切っても切れない要素です。そして、最もシビアになるのも「お金」だということ。

しかし、お金に関してはある程度試算(計算)が可能であり、マイルールさえしっかり決めておけば、リスクを最小限にすることができるでしょう。本書では、住宅ローンにおけるルールを以下ように提案しています。

「無理なく完済できる住宅ローン」の4つのルール(「第2章」より)

  1. 毎月の返済は「手取利月収の4割以下でボーナス払いなし」
  2. 返済額が一定になる「元利均等返済方式」
  3. シュミレーションの金利は「固定金利」
  4. 定年時のローン残高は「1000万円以下」

 

「無理なく」というところがポイントであり、ルール②・③は共にローン期間の返済額が一定となるため返済計画を立てやすくなります。

金利の安い「変動金利」の方が、目先の金利負担は低く抑えられますが、金利上昇リスクもあり予測が困難な点から固定金利がルールとして盛り込まれています。

固定金利と変動金利、どちらがお得なのか?という疑問は、マイホーム購入者は必ず通る道だと思います。本書でも、詳細を解説されています。結論としは、どちらが得ではなく、資金計画・ライフプラン・職業などに応じて選択することを提案しています。ただ、結語としては以下のようにまとめられています。

固定金利には金利が上がったときのための保険が上乗せされているのです。保険料と考えれば、今の固定金利はかなり割安と言えるのです。

知らないでは大損?「節税」と「補助金」の話

知らなかったでは済まされない、マイホームに関するお金の話。それが、「節税」と「補助金」です。

少し話は逸れますが、医療の分野でも意外と知られていないお金の話があります。それは、「高額療養費制度」や「付加給付」といった医療費に対する国や健康保険からの給付制度です。

例えば、70歳未満で一般年収(370~770万円)の方であれば、ひと月の医療費負担は約8万円が上限となります。さらに、大企業などに努めているサラリーマンの方では、さらに追加の付加給付という制度で約2万円程度まで上限額が下がる場合があります。

つまり、医療費に対する手厚い制度があることを知っていれば、過度な医療保険に加入する必要がなく、その分を節約やその他へまわすことができるということです。

話を戻すと、マイホーム購入検討において、以下の制度や仕組みは必ず押さえておく必要があるでしょう!

知らなきゃ損!「節税」と「補助金」
  • 住宅ローン減税
  • 贈与税・相続税
  • フラット35の金利引き下げ制度
  • すまい給付金
  • 自治体の補助金

住宅ローン減税は、すでにご存じの方も多い制度だと思います。しかし、金利引き下げ制度や自治体独自の補助金など知らなければ見過ごしてしまうものも本書では紹介されていました。

営業マンの勧める提携ローンの紹介を疑いもなく契約してしまうなどは、極力避けた方が良いでしょう。また、営業マンも販売する家については専門家かもしれませんが、お金に関しては非専門家です。

マイホームに関する最低限のお金の知識は、必ず自身で調べて活用できるようにしておきましょう!

知らなかったでは、済まないかもしれません。

まとめ

家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本(著者:千日太郎/出版:日本実業出版社)』では、マイホームにまつわるお金の話に加えて、購入するにあたっての本質的な心構えについて多くの問いを投げかけてくれます。

マイホーム購入は、私たちにとっては夢であり希望です。一方、不動産会社や銀行から見れば私たちはあくまでビジネスの対象者。すなわち、利益をくれる「お客さん」なのです。

そんな営業マンの甘い誘いや営業トークを鵜呑みにせず、自身で正しい知識を身につけ、マイホーム購入の計画を進めていく必要があるでしょう。

そんな正しい知識を身につける手段として、本書は多くの気づきを与えてくれるでしょう。