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【まとめ】製薬企業・医薬品卸(MR・MS)が知っておくべき無料オープンデータ!

製薬企業の営業職であるMR(医薬情報担当者)にとって、近年の業界変化や業界規制などは非常に逆風だと思います。

しかし、そんな中でも会社から求められる成果を上げ続ける必要があります。

近年では、地域包括ケアシステムの導入に伴い、2次医療圏単位での地域医療連携が進んでいくでしょう。

そのような医療情勢の中で、1MRとして地域や医療関係者、患者さんへ貢献していく上で非常に有用なオープンデータがあることはご存知ですか?

社会貢献を行う上では、担当施設、担当エリアにおいて、他のMRと差別化をすることも重要になってきます。

今回は、そんなその他大勢とは異なる活動や視点を持つうえで知っておくべきデータをご紹介します。

本記事を読んでほしい方
  • 誰もしていないMR活動を行いたい方
  • 自身のMR活動に付加価値をつけたい方
  • 地域単位でのマーケティングを実施したい方
  • マーケティングやデータ分析が得意な方

そもそもオープンデータとは?

国、地方公共団体及び事業者が保有する官民データのうち、国民誰もがインターネット等を通じて容易に利用(加工、編集、再配布等)できるよう、次のいずれの項目にも該当する形で公開されたデータをオープンデータと定義する。

1. 営利目的、非営利目的を問わず二次利用可能なルールが適用されたもの
2. 機械判読に適したもの
3. 無償で利用できるもの

<参照:総務省HP>

つまり、「いつでも、どこでも、どなたでも」活用できるデータのことを、オープンデータと呼びます。もちろん無料で利用可能です。

近年、医療業界においても様々なオープンデータが公開されており、地域や施設単位で人口分布、患者動向、治療動向などを知ることができます。

これだけは押さえる!6つのオープンデータ

YOUYOU
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あくまで、MR活動や実績構築に直結するものではありません。しかし、知っておけばいざという時、将来的に役に立つ情報です。

NDBオープンデータ(厚生労働省)

NDBオープンデータ(厚生労働省)

既に多くの方が知っているデータがNDBではないでしょうか?

厚生労働省が公開する全国のレセプト情報、特定健診の検査値データなどです。

主に、製薬会社など医療関連企業がダイレクトに参考となるのは「処方薬データ」ではないでしょうか?都道府県別、性年齢別に各種疾患に投薬された医薬品の数量がわかります。

さらに特定健診の検査値データなどでは、生活習慣病関連で性年齢別の傾向把握などが可能になってきます。

NDBオープンデータの難点としては、「都道府県」単位でしか把握ができないため、多くのMRにとっては活用しにくい部分もあるかもしれません。

また、より詳細な外部データを活用している企業もあるため、手持ちのデータとの整合性確認、補完などで利用する程度でも十分でしょう。

現在(2019.2時点)では、平成28年度レセプト情報と平成27年度特定健診情報が最新です。(第3回NDBオープンデータ

病院情報局

病院情報局(株式会社ケアレビュー)

一般企業が公開している統計データです。

主に、DPC病院(大学病院・基幹病院など)における受診患者数、患者疾患群などを地域別、施設別に確認することができるデータを公開しています。

自身の担当領域や製品が関係する疾患患者が、自エリアにおいてどこの病院に来院しているかを把握することに有用です。

難点としては、現在公開されている最新データは2016年(平成28年)と数年のタイムラグがある点でしょう。(2019.2時点)

データは数年前のものにはなりますが、以下のような分析や仮説を考えるきっかけにはなるでしょう。

  • 該当施設になぜ患者が集まっているのか?
  • 施設の特色として紹介を促しているのか?
  • 患者数の割に、自社製品が浸透していないのではないか?

医療介護情報局

医療介護情報局(株式会社ケアレビュー)

病院情報局と同じ企業が公開するデータです。

主に、病院、診療所(クリニック)、薬局などの医療機関届出、医療機能、介護サービス情報のデータを集約し公開しています。

病院情報局と比較すると、診療所や薬局と小規模な医療施設に関する情報を収集することができるのが特徴です。

具体的には、在宅の実施有無、在宅患者の管理数、導入機器種類、後発品加算の取得状況、外来患者数など今後の地域包括ケアに係るような情報を確認することが可能です。

JMAP(地域医療情報システム)

JMAP(地域医療情報システム):日本医師会

日本医師会が、各エリアの将来の医療や介護の提供体制を検討する際の参考ツールとして公開するデータです。

主に、都道府県、市区町村単位で人口動態(予測含む)、年齢構成、医療介護需要予測、医師数、施設数(診療科別)、介護情報など医療介護に係る情報をエリア単位で確認できるデータです。

担当エリアの将来動向を予測したり、医療介護需要に応じてアプローチする施設や医療関係者を選択したりすることに活用が可能です。

また、エリアの特徴によっては病院、クリニックなどが医療需要に応じてサービスの形態を変える可能性などもあるため、このような情報にも敏感になっておく必要があるでしょう。

JMARI(日医ワーキングペーパー)

JMARI(日本医師会総合政策研究機構)

日医総研が公開するデータです。

主に、経済、医学、戦略の3つの側面から研究を行い、ワーキングペーパーとして情報を公開しています。

具体的には、医師や患者などへのアンケート、レセプト情報の解析などを元に様々な角度からレポートを公表しています。

また、二次医療圏別の医師数データなどでは、地域偏在などの把握や医師構成などを把握することが可能で、担当エリアの将来予測、次期開業候補医師への情報提供などに活かせる可能性があります。

キーワード
  • 地域・医師連携
  • 医療保険、介護保険
  • 診療報酬、調剤報酬
  • 二次医療圏別
  • 各種疾患患者における診療実態

マネーデータベース『製薬会社と医師』

マネーデータベース「製薬会社と医師」(ワセダクロニクル)

2019年1月15日に公開されたマネーデータベース「製薬会社と医師」です。

大手をはじめ多くの製薬企業は各社ホームページ上で、医師に対して支払った費用(寄付金、謝礼金など)を公開しています。これらのデータを「お人好し」ではありませんが、一元化したのが本サイトです。

「患者とその家族、友人のみなさまへ」と称し、医師と製薬会社との利害関係を「透明化」することを目的に公開されたようです。

製薬企業が医師に対して支払う用途としては、以下の通り多岐にわたります。

  • 講演料
  • 原稿執筆・監修料
  • 臨床試験費
  • 製造販売後調査費
  • 寄附金

これらの支払額を医師個人別に一元管理できる本サイトは、非常に有用だと思います。

マネーデータベース「製薬会社と医師」:支払額ランキング(製薬会社別トップ10)
活用用途
  • 各製薬企業がだれにアプローチをしているか知る
  • 競合他社のアプローチ医師を知る
  • 製薬企業と医師の関係性を予想できる
  • MR個人ではどうにもならないことがわかる
YOUYOU
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勤務医、開業医でおおよその支払い目的が判断できます。MR活動においては、競合他社の動向を知る上で非常に有用なデータです。

まとめ

今後の医療業界は、医療制度、政策などがより一層変化していくと考えられます。

データの種類 主な内容
NDBオープンデータ 全国のレセプト情報、特定健診データ
病院情報局 DPC病院における、患者数・疾患群等の統計データ
医療介護情報局 医療機関、医療機能、介護サービスに関する情報
JMAP 各地域の人口、年齢構成、施設など医療提供状況の総合情報
JMARI 各種地域、医療に関する実態調査の情報
マネーデータベース 製薬企業から医師への支払額の一元化情報

製薬企業のMRにとっては、従来の働き方や医薬品、疾患の知識だけを有していればよい時代ではなくなっていくと予想されます。

より地域に密着した医療貢献を果たしていくために、今日から取り組める活動の一つとして“無料のオープンデータ”を活用していきませんか!