ファイナンシャルプランナー(以下、FP)資格と聞くと、金融関係、保険関係、証券会社などに勤務している方が取得する資格というイメージが強いかもしれません。
しかし、FP資格は誰もが目指してもいい資格の一つではないかと勝手に思っています。なぜなら、FPの学習分野のほとんどが自分自身が直面するであろう(すでに経験している)お金にまつわる知識を対象にしているからです。
つまり、FP資格の取得が目的ではなく、お金に対して前向きな生活をする上でFPの知識が必ず役に立つと考えています。
今回は、FP資格を仕事に、キャリアアップにどのように活用するかという観点ではなく、FPの知識が私たちの生活をどのように変えてくれるかについて私の経験を元にまとめていきます。
知らなきゃ損する?FP資格はマネーリテラシーの基礎を築く
「マネーリテラシー(金融リテラシー)」とは、『お金の知識とそれに関する判断力』のことを指します。
私たちの周りには、税金、保険商品、住宅購入費用、養育費、老後資金、投資(金融商品)、貯金など様々な部分でお金との関わりが溢れています。
では、このマネーリテラシーがないとどうなるか?
- 営業マンに勧められるがまま、生命保険を購入した!
- 住宅ローンは、住宅メーカーの提携ローンにした!
- 投資は、危ないから絶対にしない!
こんな方は要注意です!「お金で損する」第一候補者かもしれません。
お金に関する知識は、学校では教えてくれない。つまり、自分自身でマネーリテラシーを高めるしかありません。
ここで、皆さんのマネーリテラシーがどのくらいか確認してみましょう!
【クイズ】あなたのマネーリテラシーはどの程度?
金融リテラシー調査2016より出題
問1.家計の行動に関して、適切でないものはどれか?
①家計簿などで、収支を管理する
②本当に必要か、収入はあるかなどを考えて上で、支出をするかどうかを判断する
③収入のうち、一定額を天引きにするなどの方法により、貯蓄を行う
④支払いを遅らせるため、クレジットカードの分割払いを多用する
➄わからない
問2.一般に「人生の3大費用」といえば、何を指す?
①一生涯の生活費、子の教育費、医療費
②子の教育費、住宅購入費、老後の生活費
③住宅購入費、医療費、親の介護費
④わからない
問3.金利が上がっていくときに、資金の運用(預金等)、借入れについて適切な対応はどれか?
①運用は固定金利、借入れは固定金利にする
②運用は固定金利、借入れは変動金利にする
③運用は変動金利、借入れは固定金利にする
④運用は変動金利、借入れは変動金利にする
➄わからない
問4.10万円の借入れがあり、借入金利は複利で年率20%です。返済をせず、この金利では、何年で残高は倍になるか?
①2年未満
②2年以上5年未満
③5年以上10年未満
④10年以上
➄わからない
問5.金融商品の契約についてトラブルが発生した際に利用する相談窓口や制度として、適切でないものはどれか?
①消費生活センター
②金融ADR制度
③格付会社
④弁護士
解答
問1 | 問2 | 問3 | 問4 | 問5 |
④ | ② | ③ | ② | ③ |
解答に対する解説など詳細を確認したい方は、金融リテラシークイズを確認してください。
本調査は、2016年に実施されたものですが、当時の正解率は52.2%(全国平均)でした。皆さんはいかがでしたでしょうか?
特に、問3・4などは、住宅購入時の住宅ローン、投資による利回りなどを計算する上で必要な知識であり、押さえておきたいポイントです。
実は、このようなマネーリテラシーを高める手段の一つとして、FP資格(資格勉強を通じて学んだ知識)があります。
FP知識は『お金』の損を減らし、得を増やしてくれる!
前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、皆さんのマネーリテラシーはいかがでしたか?昨今、お金にまつわる国を挙げた取り組みが増加しています。
- 投資分野:NISA(ジュニア、つみたて)など
- 年金分野:iDeCo(確定拠出型年金)など
- 税金分野:住宅ローン減税、ふるさと納税など
そんな中、知らないでは損するケースもあります。そんな、損をなくし、少しでもお得に生活を送る上で役に立つのがFP資格取得を通して身につける「知識」です。
では、具体的にどのような場面で「FPの知識」が役に立つのでしょうか?
1.お金に対する根拠のないネガティブイメージがなくなった!
「自分以外」にお金を増やしてもらう!
このような考えを持つ方は少ないとは思いますが、敢えて書いておきます。「労働時間=収入」と考えている方は、非常に危険かもしれません。あなた自身が資本のため、体調を崩した場合、収入がゼロになる可能性もあります。
そこで、最も重要なことは『「自分以外」にお金を稼いでもらう』という思考を持つことです!!代表例は、投資です。例えば、不動産投資は、不動産の家賃収入で利益を得る投資方法です。一度不動産を購入すれば、ほとんどノータッチで行え、収入が得られるなど普段何もしていなくても収入を得ることになります。
このように、お金を増やすという目的において、「ひたすら働く」ではなく「どうしたら増やせる?」と考えるきっかけを与えてくれたり、「増やすために何をしたらいい?」を教えてくれるのがFPの知識です。
投資の他にも、節税など増やすだけではなく、減らさない方法を知ることで、お金に対して前向きに向き合うことにつながっています。
お金を増やすことは、悪くない!
お金持ちになるのは一部の選ばれた人だけ、お金を稼ぎたいなんて言ったら嫌われるなど、私の周りを見てもお金を増やすということに対しポジティブな印象がない気がします。
しかし、もちろん悪いこと(詐欺や犯罪など)は言うまでもありませんが、適切な方法で増やすことはその人の権利であり、成果です。
よく投資をしている人に対して、危ないとか、怪しいとか、金もうけなどとネガティブな発言をしているのを耳にします。しかし、これらは妬みでしかなく、投資はポジティブな行為だと言わざるを得ません。私から見ると、知らないということは損でしかないと感じます。
お金を増やす取り組みは、積極的に行うべきだと私は考えるようになりました。※増える・増えないは別として
2.営業マンに騙されにくい!(騙されない!)
私たちの生活の中で、大金が動くモノには大抵営業マンが関わってくることが多いです。代表例は、以下の3つです。
- 住宅ローン
- 生命保険(医療保険)
- 投資
「住宅ローン」であれば、メーカーや不動産業者の営業マン。「生命保険」や「投資」では、保険会社、証券会社、金融機関の担当者、あるいは知人などから案内・紹介されるケースがあります。
投資に関しては、少額のものもありますが、その多くは非常に多くの資金が動く買い物になります。それらを、オススメだから、担当者が信頼できそうだから、自分で調べるのがめんどくさいからという理由で契約をしてしまうと損してしまう可能性があります。
FPの知識を持っていると、「変動金利と固定金利はどちらがいいのか?」「もっとお得な住宅ローンはないのか?」「高額補償の保険は必要か?」「学資保険より、財形貯蓄の方がお得じゃないのか?」など自身の中で考え、納得した上で契約することができます。
営業マンは、私たちの利益のことも考えているとは思いますが、あくまで商品を売る立場です。安易に信用して、割高な契約を行わないためにも、ある程度の知識を私たち自身が身につけておく必要があると考えます。
3.長期的な資金計画を立てれるようになった!
AFP認定研修を受講し、キャッシュフロー表を作成したことがきっかけです。キャッシュフロー表とは、生涯のお金の収支を表にまとめ資金計画を視覚化するものです。
正直、今まではどんぶり勘定で家計管理は全くと言っていいほど行っていませんでしたが、いつ、何に、どのくらいのお金が必要かを視覚化することで、我が家はガラッと変わりました。
家族でライフプランをたてるきっかけになったことに加え、支出が何にどの程度かかっているのか、いつまでにいくら貯めないといけないか、など資金計画を立てるようになりました。
最近では、マイホーム購入の住宅ローンや通信費用の見直しなど、積極的にキャッシュフロー表の改善に取り組んでいます。
4.税金に対する考え方が変わった!
FPの勉強をするまであまり気にしていなかったのが税金の話題でした。小さい頃は、税金=消費税というイメージしかなかったため、税金は納めて当たり前という認識がありました。
しかし、社会人になり給与明細を見ると毎月引かれる税金額の高さに驚きました。例えば、「課税所得額=400万円」の方の場合、所得税(400万×0.2-42万7,500円=37万2,500円)、住民税(400万円×0.1=40万円)となり、年間約80万円の税金を納めることになります。※大まかな計算のため、詳細は割愛します
正直、働いて稼いでも、税金でこれだけの額を引かれるのはもったいない・・・。(不適切な表現かもしれません)
それならば、できる限り税金を抑える方法はないかという考えに至りました。俗にいう「節税」です。最近では、節税の方法として国・自治体の施策として「iDeCo」や「ふるさと納税」などメジャーな方法が知られていると思います。
それって何?と思われた方は、ぜひ調べて実施することをおススメします。何もせずに、税金をただただ支払い続けるのはもったいないです。
5.お金にまつわる情報に関心を持つようになった!
医療費に関する制度
私たち全員が加入している保険は何ですか?それは、「国民皆保険」という保険制度です。一般の生命保険や医療保険に加入する前に必ずチェックしておきたいのがこの制度です。
年齢によって1~3割の自己負担、乳幼児や子ども医療費助成制度などは多くの方はご存知と思います。さらに、「高額療養費制度」についても是非とも知っておきたい制度の一つです。簡単に言うと、年収によってひと月の医療費負担が上限額を超えた場合、超えた分は国が支払ってくれるという制度です。
さらに、企業勤めのサラリーマンや公務員の方は「付加給付」というさらに上限額を引き下げる制度があり、ひと月2万円程度の自己負担で済む場合などもあります。
このように、生活に関わるお金の話題に関心を持つことで、いざという場合に使える他、過度な医療保険費用を節約することにもつながります。
お金に関する知識を身につける方法!
では、どうやってお金の知識を身につけたらいいのでしょうか?
新聞・ネットニュースなどの「お金」にまつわる記事に関心を持つ
自分の興味のないものは目に映っていても認識をしない、という言葉を聞いたことありませんか?
ネットニュースや新聞など、自分の興味・関心のある記事だけ読んでいませんか?エンタメ系の記事だけ流し読みしていませんか?
少しでも日常生活におけるお金の知識を身につけたいのであれば、気軽に始められるニュースや記事に注目してみるといいでしょう!そして、自分に関係深そうな分野から少しずつ知識を吸収しましょう!
FP資格取得を目指す
「お金」に関する知識の基礎を体系的に学ぶ上では、FP資格を目指すのも一つです。何事も目標やゴールがなければ、なかなか始めにくい部分もあります。その分、「資格取得」という明確なゴールがあるFPの学習は非常にモチベーションも維持しやすいかもしれません。
日常生活に活かす程度の知識であれば、受験資格の必要のない3級で十分であり、独学でも合格可能な試験なのでオススメです。
せっかく資格取得を目指すなら、上を目指したいという方は、2級受験も可能です。2級受験に関しては、関連記事をご参考にしてください。
無料セミナーに参加する
最新かつ興味のある分野であれば、無料セミナーへ参加することが最も効率的に「お金」の知識を深めることができます。様々な企業や団体が開催しており、最寄りの会場で都合の合うセミナーがある場合は、積極的に参加してみるのも良いでしょう。
なお、セミナー受講を受ける注意点として、不動産会社や投資会社などが開催する無料セミナーへは初めのうちは参加しないようにしましょう。セミナー開催はあくまで集客の一つであり、終了後に営業行為をかけられる可能性があります。
セミナー開催例としては、日本FP協会が各支部毎に主催するセミナー&相談会などがあります。各支部ごとに毎月1回程度セミナー開催しており、初心者の方でも気軽に参加できるものになっています。
また、東京・横浜・名古屋・大阪の方であれば、ファイナンシャルアカデミーが開催する無料の「お金の教養講座」もオススメです。お金の教養に加えて、投資の基本を4時間で効率的かつ集中的に学ぶことができます。
まとめ
私自身がFP資格を取得して日常生活を送る上で『劇的に』変わったことをまとめてみました。
FP資格を通して得た知識は、マネーリテラシーを高める手段として非常に有効です。
知識を身につけたからお金が○○円増えた、稼げたという変化は、すぐには期待できないかもしれませんが、小さな積み重ねが生涯をかけて必ずリターンとして返ってくると言えます。
お金の知識を得るのに、早いに越したことはありませんが、遅いはありません。
少しでも不安や興味があるのであれば、明日からでも「お金」に関する情報を積極的に取りに行くようにしましょう!